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【特別企画】Team Liquid ネモ選手インタビュー・後編「社会人とゲーマー、2つのプロの矜持」

ALIENWARE ZONEでコラム「勝てるゲーマー論」を寄稿している、Team Liquid所属のプロ格闘ゲーマー・ネモ選手。今回の特別企画では、所属や『ストリートファイターV アーケードエディション』(以下『ストV AE』)の環境変化など、新たな環境が周囲を取り巻く現在のネモ選手に、現在と今後を見据えてのお話を伺う。

前編では「Capcom Pro Tour」や『ストV AE』への姿勢について聞いてきたが、こちらの後編では、社会人プロゲーマーとしての在り方や、プロゲーマーの門を叩く若者へのアドバイス、そして今まであまり語られていない、プライベートの過ごし方などを語ってもらった。


「社会人だから勝てない」とは言わせない──社会人プロゲーマーとして

──兼業プロゲーマーとして活躍されていますが、両立することへの課題や考えは変わったところはありますでしょうか?

ネモ:「社会人だから勝てないよね」って言う人は多いので、「そんなことはないんだよ」ということを証明するために結果を残さなければいけない、と常に思っていますし、兼業でもゲームを続けたらプロにもなれるし、いいこともあるんだよということを示していきたいのは変わらないですね。やっぱり自分が負け続けていたら、「プロゲーマーって専業じゃなきゃダメじゃん」と言う人も多くなってしまいますので。

自分はゲームをもっとやりたいからスクウェア・エニックスに転職したんですが、労働条件も良くなったので、プロゲーマーとして活動をもっと広げられるんですよ。好きなことを夢中でやって成果を出せば、会社にもフィードバックできるので、そういうところでうまく両立はできるんじゃないかなと思ってます。

──スクウェア・エニックスへの転職は、チームの移籍よりも心境的な変化は大きいように見えます。

ネモ:以前までは「仕事は仕事、ゲームはゲーム」っていう思いが強かったんですが、スクウェア・エニックスに入ってからは仕事もゲームに変わったので、何が仕事で何がゲームなんだろうっていう気持ちに陥っちゃうことはありますね(笑)。やってること自体は楽しいですし、仕事でもミーティングや意見交換をしたり、自分がゲームで繋がった人を紹介したりできるんですよ。仕事とゲームの両立はできているとは思いますが、まだ手探り状態なので、これからいろいろやっていきたいなという感じです。

──参加できる大会には出たいとのお話でしたが、どれくらいのペースで参加できそうな感じでしょうか?

ネモ:前までは年に2、3回しか海外の大会に行けなかったのが、今年は8、9回は参加できそうで、倍以上になるんですよ。その中で自分が行ってみたいところを選出して、いろんな大会に出てみたいんですよね。

「Final Round」と「Norcal Regionals」のどちらに行こうか悩んだのですが、「Final Round」は「Capcom Pro Tour」一発目の大会ですし、去年も出場選手が多かった大会なんです。それに比べて「Norcal Regionals」は人数が少なかったことを考えると、こっちに行った方が勝率は高くなりますよね。でも、今まではどちらかしか行けない状態だったので、だったら行ったことのない「Final Round」に参加したかったので選んだんです。

行ってみたい大会は年間でチェックしているので、参加していく中で「Capcom Cup」にも出られれば嬉しいですね。

──最近ですと、一日あたりの練習時間はどれぐらいなのでしょうか。

ネモ:会社のラウンジにゲームができるスペースがあるんですが、昼休みはそこでやってますね。社内にeSportsサークルがあって、練習相手になってくれるんですよ。毎日というわけではないんですが、ミーティングや打ち合わせと被らなければみんなと混ざって対戦してます。

あとは仕事が忙しくなければ、だいたい19時ぐらいには上がれるので、そこから「スタジオスカイ」で2、3時間遊んで帰るという感じです。

ただ、みんなが集まるのって「スタジオスカイ」は金曜日、日曜日、「e-Sports SQUARE AKIHABARA」は水曜日だけなので、それ以外の平日だと吉祥寺の「プラサカプコンeスポーツCLUB」にも行ったりしますが、人がいなさそうであれば自宅で練習することもありますね。基本的にはオフライン対戦がメインです。



生活のすべてがゲームだからこそのオンとオフの切り替えも大事──プライベートについて

──ちなみにお休みの日って、どういうふうに過ごされているのですか?

ネモ:「スタジオスカイ」の場合は日曜日でも14時から20時くらいまでイベントをやってますから、よく参加していますね。ただ、最近は飲みに行くことも多いです(笑)。

ゲームばかりだとずっと仕事しているような感覚なので、プライベートな時間も作りたいんですよ。ゲームとは関係ない地元の友人と酒を飲みながら話すことで、気晴らしになりますね。お酒はわりと強いほうで、ビールをけっこう飲みます。

──ゲーム以外の娯楽として、映画を見たり音楽を聞いたりされます?

ネモ:音楽については、まったく興味がないですね(笑)。映画は移動中の飛行機で見ることがほとんどで、映画館には友達に誘われたら行く程度です。昔はけっこう映画を見に行くのは好きだったんですが、いまは自分から行く機会は少なくなりました。

──どんな映画がお好きなのか気になります(笑)。

ネモ:一番好きなのは『アイアンマン』ですかね。マーベルシリーズにはけっこう思い入れがあって、ゲームセンターに行くきっかけになったのが『X-MEN VS. STREET FIGHTER』ですし、そこから対戦格闘ゲームにすごいハマったんですよ。『X-MEN』シリーズはアクションなので見ていると面白いですし、自分が使っていたキャラの設定を知れるのは楽しかったですね。

──そのほかの娯楽としてマンガを読んだり、テレビを見たりということもあまりなく?

ネモ:週刊少年ジャンプを立ち読みする程度で、単行本を買うほどではないですね。強いて言うなら『ハンター×ハンター』と『ワンピース』くらいで、最初の頃からずっと読んでたので、今も読んでるというだけですかね。何かしらの影響を受けたマンガといえば、中学生の時に『スラムダンク』を読んでバスケットボールをやったというくらいです。

漫画もゲームもそうなんですが、他人の影響を受けやすいんですよ(笑)。自発的には手を出さないんですが、「これ、面白いからやろうよ」って友達に言われるとやり始めるんです。それが自分の中で面白いと思ったら熱中してずっとやり続けられるんですが、飽きるタイミングって「つまらなくなった時」なのでわかりやすい性格だと思います(笑)。

──最近では『ドラゴンボール ファイターズ』を遊んでいるプレイヤーも多いですよね。ネモさんはこのゲームについてどう思われているのでしょうか?

ネモ:やってほしいっていろんな人に言われますし、そういう声はすごく多いんですよ。でも格闘ゲームってうまくなるのにすごい時間がかかりますし、スクウェア・エニックスで仕事をしつつ『ストV AE』をやっているという状況の中に『ドラゴンボール ファイターズ』を入れると、本当にプライベートな時間がなくなっちゃうので、一切やらないことにしました。知り合いとちょっと遊んだ時に「面白いな」と思ったら、手をつけてしまうので(笑)。

ただ、たとえば『ストV AE』で「Capcom Pro Tour」のポイントが「EVO」までに確保できている状態であれば、「9月から『ドラゴンボール ファイターズ』を2カ月間くらいやってみるか」と一気にまとめて遊び、今後もやるかどうかを判断したうえで11月から「Capcom Pro Tour」の調整をするというスケジュールは組めると思うんです。

──Twitchなどで配信しているプロゲーマーの方も多いですが、ネモさんはそういったものを一切やられていませんよね。何か理由はあるのでしょうか。

ネモ:前職に勤めていたころには、他の人たちが残業している時に自分が家でゲームを配信していると知られた時に「どう思われるのかな……」っていう考えがあったのでやらなかったんです。

基本的にはゲームのやり方をあんまり変えたくなかったんですよね。自分が強くなったのはゲームセンターで対戦していたからで、家でゲームをする場合、「いつゲームをしてもいいし、やらなくてもいい」ということで、他のことに手を出したらゲームをやらなくなってしまうんじゃないかと思ったんです。でも、ゲームセンターに行けば目的がはっきりするので、ゲームを必ず2時間はやって帰るというバランスが出来上がっているんです。

──ファンの人たちは、もっと配信なども見たいと思っているかも知れませんが。

ネモ:ストリーマーになればいろんな人と配信上でのやりとりを含めてコミュニティは形成できると思うんですけど、やっぱり自分としてはアスリートでありたいっていう考えなんですよ。人気者になりたいという欲望もまったくなく、それよりも大会で勝ちたいっていう気持ちの方が強いんです。
今は勝つことで回りや世間への理解や証明をすべきなので、「配信は大会に出なくなったあとでもできるよね」っていう感じです。


どんなチャンスも逃すな──プロゲーマーに憧れる若者に向けて

──ALIENWAREは今後もプロゲーマーを募集しているので、ネモさんが作った道にこれから若い人が入ってくるかと思います。

ネモ:自分は「社会人になったらゲームを辞めなきゃいけない」という考えをなくしたい、という目標を立てました。その開いた道が続くかどうかは、後に続いてくれる人たち次第かと思います。

自分はプロになる前に転職活動を先にしていたことがあって「実業団みたいな形で働きたい」ってことを企業さんに言っていたんですが、「ゲームの活動に理解のある会社さんなんだから、そこで働きつつプロゲーマーとしてスポンサー契約を見つけたほうがいいんじゃないの?」と言われたことをきっかけに、スポンサーを付けてみようと考えたんです。そうすることで説得力が増すだろうな、ってプロになってから転職活動を再開するプランがあったんですよね。その方針で続けていく中で、「ずっとゲームを続けたい」という思いもあったので、働きやすい職場としてスクウェア・エニックスへの転職も叶いました。

──では最後に、プロゲーマーになりたいと憧れている方々に向けて、先駆者としてのアドバイスをいただけますでしょうか。

ネモ:チャンスは逃さないほうがいい、というのがまずひとつあります。

最近でこそ、プロゲーマーに大手のスポンサーがついたり、海外チームに所属していたりすることが当たり前のように思われているかも知れませんが、以前はそうじゃなかったんですよね。前は全国大会で優勝することで海外大会に行って、そこで活躍できたからこそプロのオファーが来るという状況でしたし、自分の場合もそこまで大規模ではないチームに所属して、ちょっとずつ海外に行ったり、そこで結果を出したりという下積みがあったからこそ、今の立ち位置にいられるんですよ。

なので、「条件は良くないかもしれませんがスポンサードしたいです」という話をもらった時に「いや、ちょっと……」と断るのは、もったいないと思います。契約期間内に頑張って成績を残すことで、他の企業からも話が来たりすると思うので。スポンサーに対する還元や、チャレンジしていきたいという気持ちと姿勢を見せつつ、成績を出すことが大事だと思います。

プロである以上、労務に対して相応の報酬として給料をもらうわけなので、お金をもらえることが前提条件だとは思わないで、自分の価値を高めてそれ相応の給料をもらえるようにしていくべきだと思います。


■関連リンク
ストVゲーマー・ネモの勝てるゲーマー論
https://alienwarezone.jp/writer/32
ネモ選手のTwitter
https://twitter.com/good_nemo
ネモ選手の公式サイト
http://nemogood.com/

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スト5ゲーマー・ネモの勝てるゲーマー論