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<後編>【インタビュー】「有機ELはクリエイターには危険な画質です!」『鉄拳』シリーズプロデューサー原田勝弘氏

「バンダイナムコエンターテインメント」は6月2日に格闘ゲーム『鉄拳』シリーズの最新作『鉄拳7』をSteamにて発売する(PS4/Xbox One版は6月1日発売)。

この『鉄拳』シリーズのプロデューサーを務める原田勝弘氏に、有機ELディスプレイを搭載した「New ALIENWARE 13」(2017年1月20日発売)を使って頂く機会を得た。原田氏はゲームクリエイターとして数々の名作を世に送り出してきたが、その一方で大のゲーム好きのプレイヤーであり、またPCに関しても見識が高い。その原田氏に「New ALIENWARE 13」はどんなPCなのかインタビューを行った。

前編では、「New ALIENWAR 13」の印象や使い心地について話していただいた。この後編では、VR用PCとしての使用感やメリット、また『鉄拳』シリーズへのこだわりについて語っていただく。

VR用のPCとしては?

――クリエイターの視点として、VRのゲームをプレイするPCとしてはどうでしょうか?

原田氏:VRの必要な性能に丁度追いついたという感じです。オキュラスが最初に出たときに、多くのノートPCではスペックが足りなくて60フレームが出せませんでした。

しかし、「New ALIENWARE 13」であれば、ちゃんと60フレームが出せるのでVRをやって全然良いと思います。デスクトップPCだとケーブルの取り回しや設置場所に制約を受けますが、その点ノートPCの方が設置しやすいので、むしろノートPCでやる方がVRは快適です。

ゲームの開発者として、VRのデモンストレーションをやりやすくなりました。こういったとりまわしの点も含め非常にバランスはいいでしょうね。

今のVRの課題は「いかにユーザーに体験させるか」という点です。例えば、映画版『FINAL FANTASY XV』である『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』の映像美を伝えたいと思ったら、テレビで放送とかすれば、何百万人もの人が「わぁ綺麗!」ってなりますよね。

でもVRはいくらテレビで「映像の臨場感が凄いです」と流しても大抵の人はキョトンとしてしまいます。ですから、凄いと伝えるのはやはり体験してもらうしかない。

しかし「New ALIENWARE 13」でVRがちゃんと動いてくれるので、VRゴーグルとのセットでどこへでも持っていって、ポンと置いて試せる。こういった高性能ノートPCは業界としてもありがたい存在ですね。

――いまゲームをするには様々なプラットフォームがありますが、ユーザーがPCでゲームをすることの利点はありますでしょうか?

原田氏:ゲーム機のコンソールは、値段的にも安価なうえで全員の性能が揃っているという点で非常に好ましいですよね。そこに差が出ないのでフェアな環境でプレイできるし、不安がない。その差が出ないのは、メーカーにとってもユーザーにとっても利点です。

一方で僕個人的な主観として「ちょっと人より良い物とか、人より先の未来を見てみたい」ってなったときには、やっぱり一歩先の未来の入り口はPCにある、という側面は否めないと思います。

ゲームに限らずですが「ああ、なるほどね、ここまで綺麗にできるようになったんだ」とか、「ここまで投資すればこのくらいのものが見られるんだ」というのは当然PCの方が実感できますね。

PCゲーマーどころかPCすら自作で色々やっちゃってる場合には、正直言うとそこらへんの知識がない人と比べて5、6年先の未来を覗いちゃってる可能性はありますよね。有機ELなんて明らかに未来の画質ですよね。それを垣間見れるのはPC業界の良いところだと思います。

しかも有機ELは「この絵が見たくてこのPCを買ったんだよ」って言っても嫁にも納得して貰えますね(笑)一度、「New ALIENWARE 13」を嫁に見せたところ、全然テクノロジーが分からないウチの嫁でも「画面が綺麗!」って言ってました。

僕の仕事の面では、ノートPCでこれだけの性能が出れば、出張で持っていく物が減って楽になりました。出張先で『鉄拳』のデモンストレーションをする場合、今まではコンソールごと持っていってました。

しかし「New ALIENWARE 13」なら、ディスプレイ込みでこのスペックを持ち出せる、これはコンパクトで便利だなあと思いましたね。過去に私にとってノートPCは、性能とコンパクトさのトレードオフが大きすぎて、ゲーマーにとってメリットがあまりないと思っていました。しかし、コンパクトになったことでこうした持ち運びメリットがあるうえで、ちゃんと性能がクロスしてきた時代になったんだな、と実感します。

『鉄拳』シリーズのこだわり

――ここからは『鉄拳』シリーズについて詳しく伺っていきたいと思います。先ほど有機ELの部分でも触れて頂きましたが、『鉄拳』シリーズの映像に関してのコダワリを教えてください。

原田氏:映像に介入要素がありプレイヤーがあくまで主体のゲームと、映画やドラマのような介入のない「見るだけの映像」は、絵作りに絶対的な違いが出てきます。もちろん、作品によってポリシーがあるとは思うのですが、僕らは“動いてナンボ”です。止め絵で見たときよりも、動いてるときにどれくらい迫力があるかという観点で作るんです。

昔のゲームはハード的にポリゴン数とか色数に制限があったので、それを上限まで使えるかどうか?が新世代のリアルタイムCG絵作りとしては正義だったんです。さらに、例えば「テクスチャ技術」をリアルタイムのゲームに導入する、「リフレクションマッピング」とか最新の技術が出たらそれを使う、「最新技術が盛り込まれている」という理由で価値が認められた時代がありました。

しかし、今はそうした制限がなくなったのである意味で自由になってしまったんです。どのメーカーさんも絵のクオリティで言えば差が出なくなった、出にくくなったとも言えます。特定のミドルウェアやエンジンを使えば、似たような絵が出せるってなったときに僕らがとった手段は、「自分たちのテイストにあった絵をどう出すか?最新技術を使いつつも個性をいかに出すか?」という方向でした。

僕らの良いライバルでもあり仲間でもある『ストリートファイター』シリーズは、昔のドット絵とは違って、どっちかっていうと水彩画のような絵の描き方を選択してましたよね。

『鉄拳』は、「色は上限まで使う」とか「できるだけ色のグラデーションを綺麗にする」とか先に述べたように技術ベースでできることはすべてやってきたんですけど、今回はライティングをクセのあるものにして「極端に色飛びするところは飛んでも良しとする」とか、「これまで避けてきた黒色の表現を恐れずに使う」など振り切ったものにしました。 割と知られていないんですけど、3D格闘ゲームはあまり手の先とか足の先に黒は使わないほうが良いというセオリーがあるんです。理由はテストするとわかることですが、動きが映えないんですよ。潜在的な評価で低くなる傾向があることがわかっています。

手先と足先は3D格闘の場合は、常になめらかに動き続けて、リアルな人間の挙動に近い。かっこいいポーズで止まっている時間が少なく、フレームレートは同じ60fpsでも、アニメーションの作りが漫画的ではなく、滑らかな動きですから、その軌跡をしっかり見せることが重要です。

なので暗い色は避けるのがセオリーで、さらに、手の大きさや足の大きさがリアルだとまったく映えないので少しスケールをかけて大きくする必要があります。

今回の『鉄拳7』では時代も変化し、プレイヤーの皆様もそれなりに良いディスプレイを使うようになって、個々の環境で色の階調とかには問題が起きにくくなってきました。そういう時代背景もあって、ライティングとかを極端にやるようにしましたね。キャラクターの筋肉にあたっている光とか、場所によってハレーションを起こして飛ばしたりですね。

あと、先ほど触れた黒色ですが、今回は色々なキャラに黒をちゃんと使ってみてます。当然黒は調整がすごく難しいんですが、割と頑張ってデザイナーが調整してくれています。

余談ですが、だから有機ELは危険なんです。調整しなくても黒が良く出て「これで良いじゃん」になってしまいます。最も黒い部分がしっかり引き締まって見えるので、黒でもしっかり諧調が出てくれます。それによって背景の深度も一気に上がったように見えるんですね。背景に使っている岩の感じとか。普通の液晶だとここまでのディテールに見えません。僕らが一番苦労している黒が勝手に良い具合に演出されてしまいます(笑)。

逆に有機ELだけを見て開発したら、他の液晶ディスプレイなどで表示した場合は全然黒が調整されていなくて、あまり良くない絵になりますね。逆に言えば、仮にもし世の中が全部有機ELになれば、もっと恐れず黒を使えるかもしれません。

新作『鉄拳7』の注目点とは?

――最後に『鉄拳7』はどんなゲームでしょうか?アピールポイントを教えてください。

原田氏:ポイントはいっぱいありますが、まず発信しておきたいのは、今まで『鉄拳』シリーズをプレイしてきている人も、そうでない人も楽しめるという点です。
 
「7」と聞くと「今さら俺は入れないのでは?」と思うかも知れませんが、ゲームシステムとストーリー、どちらの面でも大丈夫です。他のゲームでは作を追うごとにゲームシステムが難しくなったりもしますが、『鉄拳7』では、ゲームシステムをシンプルに作り直しています。
例えば「ダウンしたまま起き上がれない」とか「壁に追いつめられたまま何もできない」とかはありません。立ち会いの勝負が割と容易にできて、そこに新システムを入れることで、より駆け引きがわかりやすくなっていて、端から見ていても面白いと感じてもらえるようにしています。

ここがゲームのポイントだってわかりやすくなっているのと、見てる人とプレイしてる人が一緒に盛り上がれるっていう一体感が出るように意識して作ってあります。

例えば、KO直前にお互いの体力が少なくなって、クロスカウンターになったりすると、スーパースローの演出を入れたりというのがあります。これはプレイヤーも見ている側も「どっちだ!?」と盛り上がります。しかも気が抜けないのは、その間の駆け引きもコマンドも全部別系統で受け付けているし、そもそも互いの技が届かなかったりするケースもあって、実はそれで決着が付かないこともあるんですよ。または、カウンターの数値が足りなくて生き残っちゃったとか。そうすると元のゲームスピードに戻るので、気が抜けない。かなりスリリングですね。

これは今まで色々なゲームショウで見せてきましたが、ものすごい歓声が起きるんですよ。この演出の部分だけでYouTubeで特集が組まれるぐらい盛り上がってます。それくらい見てる人との一体感をゲーム的に意識しています。

今回の家庭用に関しては、今までプレイしてきた人も今回が初めての人も、同じ体験になるような流れにしています。

例えば「三島平八と三島一八は何故こんなに仲が悪くなったのか?どうして戦うことになり、どういう決着になるのか?」って、これは今までの鉄拳ファンも知らない事だらけなんですよ。「そういえば、なんであいつらこんなに争ってるの?なんで一八はあんなに親父のこと嫌いなの?」「親父はなんで一八を殺そうとしてるんだろう?」「なんで谷に落としたんだろう?」「谷に落としたら死ぬって鉄拳初期の頃からあったけど、そういえばなんで?」って。そういう三島家の謎も含めて、初代『鉄拳』からそれ以前の話も全部追っていくんですよ。

そして、その決着は誰も知りません。そういう意味でいうと、『鉄拳7』から入る人もベテランの鉄拳プレイヤーも等しく同じ体験をします。

『鉄拳』ってもともと、格闘ゲームで最もストーリーを重点的に見せるタイトルなのですが、これが格闘ゲームでもプレイヤーの層が広い所以なんです。

ちょっと手前味噌の話になりますけど、家庭用のシリーズ累計の販売本数は4,400万枚にもなります。対戦格闘ゲームというジャンルではこれはトップの実績です。では、なぜ売れているかというと、格闘ゲームとして競技でガリガリと遊ぶって人よりも、単純にゲームとして楽しむカジュアルな人が7割くらい居るからです。昔から思ったよりもストーリーとか、CGムービーに注目して楽しみにしている人が凄く多いですね。

今回はそれに応えられるように、ストーリーには力を入れています。「ストーリーモード」というのがありますが、今までのようにキャラクターを操作するシーンとストーリー的な演出やムービーが分かれているのでは無く、シームレスに繋がっています。なので、ムービーだと思ってボーッと見ていたら、実はもうプレイモードに入っていたとかもあります。

他にも、銃を持った兵士に囲まれたところから急に始まって、倒し終わったらそのままリアルタイムに演出に入り、ムービーに戻る、などが繰り返し出てきます。今まではOPムービー見て、CPUを倒して、EDムービー見て「よし!1個終わり」って感じでしたが、

今回は、1本のストーリーをドラマチックな流れで追体験していくような流れになっています。これは『鉄拳』シリーズでも初めてなので注目ポイントだと思います。


また、格闘ゲームが上手くない人でもこのストーリーモードを楽しめるように、操作の難易度を何段階にも分けています。

例えば『鉄拳』シリーズでは全て攻撃ボタンを押し分けたりしますが、それが難しいという人にはL1ボタン4つが4種類の必殺技になるような設定、左、右、左みたいに押してくとそれが勝手に空中コンボになったりするような機能を、このストーリーモード向けに用意しています。

さらには、それすら難しいという人向けの機能もあります。逆に難易度が高いモードをプレイできる人には、ゲーム内の称号が貰えるようになっています。 ちなみに、一番高い難易度は僕でさえまだクリアできてないレベルです(笑)。最近、ちょっと腕が鈍ってしまったようで。そういう意味で高いスキルを持っているプレイヤーにもやり応えのあるものとなっています。

さらに、過去の『鉄拳』シリーズのOPやEDなどのムービーをギャラリーモードに全部収録しています。それを見るだけでも相当時間が掛かりますよ。今回のムービーも加えると、とんでもない長さです。

加えて、今まで色々な『鉄拳』の名がついた商品の数々のムービーも入っています。日本版だけは、パチンコやパチスロの映像とかまで入れてあります。「あっ、これ見たことなかった」っていう映像も結構入ってると思います。もうゲームの付属というよりは、別コンテンツで出せるレベルです。Blu-rayの映像作品とかにして単体で出せるくらいの量を全部入れてあります。2層のBlu-rayディスクの容量の限界いっぱいまで入っています。なので「過去の鉄拳でしか見られない部分」は、ほぼ無いと言っていいぐらいです。

今回もRPGか何か?というぐらいカスタマイズが充実していますし、友達と内輪でオンライントーナメントをやれるモードも実装しています。そういう意味でも『鉄拳7』は『鉄拳』シリーズの決定版と言ってもいいですね。

『鉄拳7』は、2017年7月14日〜16日にアメリカ・ラスベガスで開催される「EVO 2017」にも競技ゲームとして選ばれています。カジュアルにもコアにも楽しめる『鉄拳7』ですが、今後も面白い事を沢山仕掛けていこうと思っていますので、今後の展開にもご期待ください。

ヨーロッパのみで販売される限定パッケージには三島平八と三島一八が激突するフィギュアが付属している

©CAPCOM U.S.A., INC. ALL RIGHTS RESERVED.
TEKKEN™ 7 & ©2017 BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

■前編はこちらから
<前編>【インタビュー】「有機ELはクリエイターには危険な画質です!」『鉄拳』シリーズプロデューサー原田勝弘氏

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「Alienware 13 OLED VR」のページ
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原田勝弘氏のTwitter
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