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上司との緊迫の駆け引き。スト5ゲーマー・ネモの勝てるゲーマー論 第13回

文●ネモ

今回も、自分がスポンサーを獲得し、プロゲーマーになるまでの経緯を振り返るお話になります。
前回の記事の通り、長らくの活動の末、幸運と人脈にも恵まれ、ついに念願のスポンサー契約がまとまりました。

しかし、社会人プロゲーマーとしては、問題はそこで尽きるわけではありません。自分が勤めている会社とも、最終調整をしなくてはならなかったのです。

上司への報告

ALIENWARE様との契約が決まったことは、すぐに上司へ報告しました。
その時に送ったメールは、以下の通り。

■上司へ送ったメール

お疲れ様です。根本です。
以前からご相談をさせて頂いたスポンサーの件ですが、ALIENWARE様と契約を交わそうと思っています。
契約して問題点はないか?等、下記日程で打ち合わせをしたいのですが大丈夫でしょうか?

6月9日(木) 9~10時 もしくは 19時以降

急な話で申し訳ございませんが、日程調整をお願い致します。
ALIENWARE様からの最終条件は、下記の通りとなります。

※メールではこちらにブランドロゴ入りのウェアの着用など、詳細な契約内容を記載しました

こちらのメールに対しての、上司からの返信は以下の通りでした。

■上司からのメール

お疲れ様です。

前回からの打合せと同様ですが、基本的な考えとして、契約が問題ないかのジャッジはできません。
会社業務に影響が出ないかという話になると思いますので、その点は認識の上、打合せさせてください。
よろしくお願いいたします。

第9回の記事で触れていた、上司にまず相談してみた時に総務側で懸念されていたという「契約」の話。それがここにきて、再び問題視されてきました。

会社を回す大事な根幹、契約。社会人である以上、どこまでも向き合わなくてはならない要素です

自分の契約は、自社の業務へは支障が出ないような内容で交わしていました。
配信等も定期的な放送ではなく、スポット的に呼ばれた際に、ゲストで出演するようなものにしか出ないようにしました。

これは配信をしつつゲームをプレイするよりも、ゲームをプレイできる時はなるべく良い環境で集中して、うまくなりたい!という考えから。
そして、同じ職場の方が、自分がゲーム配信をしていると知った時にどんな反応をするのか?という配慮からの考えでした。

会社の皆さん全員が応援をしてくれるのであればいいのですが……。
現実的に、まだまだゲームの文化を理解できないという方も、当然いると思っています。
そうなった時に最悪の場合、社内にしがらみが生まれてしまうのではないか?と考え、配信は避けるように決めたのです。

あくまでも仕事を優先とし、周りに迷惑が掛からないことを前提とした条件です。

こうして契約や業務への抵触に配慮した調整を進め、いよいよ上司との打ち合わせの日を迎えました。

上司との面談

打ち合わせ当日。本来は総務、直属上司、同事業部の3人の部長と面談予定でしたが、当日、総務部長は来られませんでした。

直属上司 「お疲れ様です。総務が来られなくなってしまった理由としては、会社では正式には認められないからです。
総務が出てしまうと、会社でこの事例を認めてしまうことになるので、出席できないとジャッジしました。なので、こちらの部長2人が話を聞くことにしました。
根本がどのように契約をするのかも把握した上で、就業規則に引っかかりそうな面があるかどうかを判断します」

自分 「メールで事前にお伝えしていますが、ALIENWARE様と契約をする形になりますが、このような契約で問題ありませんか?
少し気になっているところは、副業規定に引っかかるのかな?という点なのですが」

直属上司 「根本の契約であれば、雇用契約ではありませんよね?雇用契約でなければ、あくまでもこちらの業務を優先することができます。
この契約はイメージ的に業務委託のような契約であって、親会社であれば休みの日にどこかで講演をしたりすることと同様のケースですよ」

別の部長 「金額的にこれだけもらうのは、問題があるのでは?」

直属上司 「そんなことはありません。親会社では個人事業主となって、別の収入があったりする方も既に前例はあったりします。
根本がこの契約を交わすことで、会社の就業規則に引っかかるようなことはありませんよ」

と、このようなやりとりを当時行ったことを覚えています。

こうして面談が終わり、その帰りに直属の上司はこう言ってくれました。

直属上司 「また何か分からなければ、相談してきなよ!
会社として認めることはできないから、実質隠れてやることになってしまうわけだけど、別に規則に反した悪いことをしているわけでもないし、自信を持ってそっちの世界でも頑張りなさい」

前々からもそうでしたが、直属の上司には今回も親身になって相談に乗ってもらい、自分を助けてもらえました。自分だけであれば、どのような判断をしていいかが分からなく、契約を交わす段階までは行けなかったでしょう。
もし自分の上司が別の方であった場合、自分はプロになっていなかったかもしれません。

この場に立つまでの最初から今現在まで、始終支えてくれた上司には、返す返すも感謝するばかりです
(画像提供:RAGE 公式サイト:https://rage-esports.jp/

■スト5ゲーマー・ネモの勝てるゲーマー論

第1回 格闘ゲームの攻略を鵜呑みにするな!
第2回 格闘ゲーム上達の3つのサイクル!
第3回 プロゲーマーと社会人の両立は可能?
第4回 上達の秘訣は自キャラの変更にあり!
第5回 eSportsという言葉に込めるもの。
第6回 プロゲーマーへの道のり その1 無冠の帝王がプロゲーマーを目指す!
第7回 プロゲーマーへの道のり その2 名刺配りで見えてきた厳しい現実。
第8回 プロゲーマーへの道のり その3 初めての企業訪問から考えたこと。
第9回 プロゲーマーへの道のり その4 スポンサー獲得に向けて上司へ相談。
第10回 プロゲーマーへの道のり その5 スポンサー契約を企業に断られた理由。
第11回 プロゲーマーへの道のり その6 ALIENWARE様へのプレゼン!
第12回 プロゲーマーへの道のり その7 不契約から一転! 交渉に訪れた転機。

■ネモ選手のプロフィール

1985年1月5日生まれ。本名は根本直樹。2016年7月にALIENWAREとプロ契約を行う。平日はシステムエンジニアとして会社員の顔と週末はプロゲーマーの顔の2つを両立する社会人プロゲーマー。
ストリートファイターシリーズをはじめ、Guilty Gear シリーズや、アルティメット マーヴル VS. カプコン 3、King of Fighterシリーズなどの格闘ゲームをマルチにプレイする。2016年は、TOKYO BUTTON MASHERS 2016(CAPCOM Pro Tourランキングトーナメント) ストリートファイターV 4位、Tokyo Offline Party vol.2 トーキョーオフラインパーティ2 ストリートファイターV 優勝、羊城杯(中国) ウルトラストリートファイターIV 個人戦 優勝など数々の戦歴を誇る。

■関連リンク
ネモ選手のTwitter
https://twitter.com/good_nemo