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【GTRカンファレンス2017】全世界の才能あるインディゲームを世界に羽ばたかせるための仕組み

文●小野憲史

世界中で盛り上がるインディゲームのムーブメント。その一方で成功者は一握りで、多くのインディゲームは多数のタイトル群の中で埋もれている。こうしたインディシーンを盛り上げるため、2015年からスタートした国際的な取り組みが「Global Top Round(GTR)」だ。2017年10月23日・24日にオーストラリアのメルボルンで開催されたピッチイベントを取材した。

全世界から17タイトルが集結

GTRカンファレンスに参加したインディゲーム開発者たち

スマートフォンをはじめとしたゲーム再生環境の普及・デジタル流通&決済手段の進展・ゲーム開発ツールの無償化などを背景に、世界規模で急増しているインディゲーム開発者たち。国や地域によっては開発支援が受けられる場合もあるが、その大半は厳しい制作環境におかれている。こうした中で、2015年からスタートした取り組みがGlobal Top Round(GTR)社による、インディゲームを対象としたアクセラレータープログラムだ。

支援は5段階にわたるが、中でもハイライトとなるのが毎年1回開催されるGTRカンファレンスだ。全世界から20タイトルが選抜され、1チーム2000ドルまで渡航支援が受けられる。カンファレンスではゲームデザイン・資金調達・マーケティングなどのセミナーに加えて、選抜タイトルのプレゼンテーションや試遊会がある。これらをもとに、さらに10タイトルが選抜され、それぞれ4万ドルの開発資金が提供されるのだ。

2017年も10月23日・24日にオーストラリアのメルボルンで開催され、全世界から17タイトルの開発者が集結した(3タイトルは諸事情で欠席)。その結果、選抜者の相互投票で選出されるオーディエンスアワードに、最大4人まで同時プレイが可能なPC向けアクションRPG『Relic Hunters Legend』(Rogue Snail)が輝いた。また、同作を含む下記10作品が選出された。

和気あいあいとした雰囲気の中で、参加者同士で互いに試遊し、投票が行われた

GTRカンファレンス選出作品

1.『Akuto: Mad World』Hut 90/イギリス【PC/家庭用】
最大4人までのプレイヤーが銃と剣で互いにバトルロイヤルを繰り広げる、ハイスピードな攻防が特徴のアクションゲーム

2.『Boom Fighters』Cocodrilo Dog Games/コロンビア【PC/家庭用】
電子ドラムを入力デバイスに用いた新感覚のリズムアクションゲーム。教育用や展示用などの市場を狙っている

3.『Cubiverse』Cubinauts/ドイツ【モバイル】
ルービックキューブをモチーフとしたパズルゲーム。プレイヤーはステージを組み替え、宇宙飛行士を宇宙船に導いていく

4.『Failure: NeuroSlicers』Dream Harvest/全世界(イギリス拠点)【PC/Xbox One/Switch】
元UBIなどのベテランクリエイターが集結したRTS。ヘックス上で区切られた近未来の世界で白熱の攻防が繰り広げられる

5.『Fiend Legion』Spree Entertainment Pty Ltd/オーストラリア【PC】
カードゲームとシミュレーションRPGを融合させたボードゲーム。プレイヤーはデッキを組み、互いにユニットをくりだしながら戦う

6.『KEEN』Cat Nigiri/ブラジル【PC/家庭用/モバイル】
ターンベースのパズルアクションゲーム。プレイヤーは直線しか移動できない主人公を操作し、敵キャラクターを撃破していく

7.『Relic Hunters Legend』Rogue Snail/ブラジル【PC/家庭用】
スマッシュヒットを記録した『Relic Hunters Zero』の続編ゲーム。最大4人までプレイできるF2PのアクションRPG

8.『Sky Kraken』The Pulse Originals/オーストラリア【Oculus/VIVE】
飛行船を舞台に空賊となって巨大なクラーケンをはじめとした、さまざまなモンスターとバトルを繰り広げるVRゲーム

9.『SpitKiss』Triple Topping Games IVS/デンマーク【モバイル】
画面をタップしながら、ガールフレンドに投げキッスを届ける異色のアクションゲーム

10.『Woodpunk』Meteorbyte Studios/スペイン【PC】
サイバーパンクならぬ「ウッドパンク」な世界観が特徴的な、ローグライク・アクションゲーム。1400種類もの武器を自由に作成できる

選出された作品群は開発資金に加えて、開発・宣伝・販売支援や、パブリッシャー・投資家の紹介などが行われる。本カンファレンスを経て販売されたタイトルには、東京ゲームショウ2016のインディゲームコーナーにも出展された、PC向けの横スクロールシューティング『Earth Atlantis』(Pixel Perfex)などがあり、着実に成果を上げつつある。GTRカンファレンスは過去にアメリカ(ハワイ)とドイツ(ケルン)で開催されており、同社では2018年度の開催地選定も進めている。

同社の課題は日本からの応募が少ないことだ。過去2年間は一件も応募がなく、2017年度は数件の応募が見られたが、GTRカンファレンスに登壇する20作品には選出されなかった。課題となっているのが言語の壁で、本プログラムで支援を受けるには英語でのやりとりが必須となる。もっともCEOのDanny Woo氏は「流ちょうに話せる必要はないので、まずは挑戦してみて欲しい」と語った。

GTR創設者でCEOのDanny Woo氏

参加者は総勢30名程度で、アットホームで密度の濃いカンファレンスとなった

実際に本年度のGTRカンファレンスでは、前述の『Relic Hunters Legend』をはじめ、2本のブラジル産ゲームがプレゼンテーションに成功し、支援の権利を得た。また、残念ながら敗退した7タイトルの中には、韓国から2件、インドネシアとチェコから1件ずつと、非英語圏からの参加も見られた。このように世界中からの参加が見られる中で、日本のインディゲームだけが、自国の市場に「閉じている」のが現状だ。

もっとも浮世絵などの背景に江戸幕府の鎖国政策があったように、良くも悪くも日本語の壁に守られていることが、国産ゲームの独自性に繋がっている点は否定できない。GTR社をはじめ、海外のパブリッシャーや投資家が日本のインディゲームシーンに関心を抱く理由もそこにある。ニッチだが確実なニーズがあると考えられているのだ。そして、しばしば次のビッグヒットは、こうしたニッチなタイトルの中から生まれてくる。

ただし、日本のインディゲーム開発者自身が海外市場に興味を持たなければ、これらの機会も活かすことはできない。もちろん、趣味の範疇でゲームを作り続けたり、即売会など開発者の目の届く範疇でゲームを販売したりすることは、決して否定されるものではない。しかし、こうしたインディゲームをめぐる取り組みが世界規模で行われている現状について、知っておいて損はないだろう。2018年度は国内からの採択を期待したい。

■関連リンク
GTR公式サイト
http://www.globaltopround.com/
GTR2017カンファレンス 公式サイト
http://2017.globaltopround.com/
GTR2017紹介資料
https://drive.google.com/file/d/0B4uR5qZeoX9yYTNMZjdlNXpWZ2c/view