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『World of Tanks』の「Music 2.0」の中心人物である山岡氏とSabatonパル・スンドストロム氏に話を聞いた

左からWargamingのオザン・コチョール氏、Sabatonのパル・スンドストロム氏、グラスホッパー・マニファクチュアの山岡晃氏

千葉で開催された東京ゲームショウ2017。東京ゲームショウ2017 ビジネスデイ1日目(2017年9月21日)に、当日発表されたWargamingのオンラインタンクバトル『World of Tanks』(以下、『WoT』)の新要素「Music 2.0」に関わるグラスホッパー・マニファクチュアの山岡晃氏と、Wargaming APAC パブリッシング・ストラテジー・ディレクターのオザン・コチョール氏、ウォー・メタル・バンド「Sabaton」のベーシストでもあるパル・スンドストロム氏へインタビューを行った。

細かな内容を聞いてきたので、その内容をお届けしよう。なお通訳でもあるコチョール氏は、スンドストロム氏の会話と共にWargamingの立場としても話しているので、基本的にコチョール氏の会話を掲載した。

ちなみにSabatonのパル・スンドストロム氏は古くからのゲーマーで、NES(海外でのファミコン)で『ゼルダの伝説』や『スーパーファミコン』をプレイしており、年齢は36歳と山岡氏と同い年だ(ちなみにコチョール氏は35歳)。その後PCゲームもプレイし『トゥームレイダー』や『タイタンフォール2』の他にも、コンソールで『アンチャーテッド』なども遊んでいる。

――初めに自己紹介をお願いします

山岡晃氏: 元々コナミにいて今グラスホッパー・マニファクチュアにいます。ゲームの方は20数年ぐらいずっと仕事で携わっていて、音楽を中心に昔なら『サイレントヒル』で、今なら『World of Tanks』のコラボ、グラスホッパー・マニファクチュアの『LET IT DIE』もやっています。

スンドストロム氏: ウォー・メタル・バンド「Sabaton」のベーシスト兼マネージャーです。1年前ぐらいからコラボレーションの話を始めまして、丁度1カ月ぐらい前から「Primo Victoria」というコラボ戦車やボイスオーバー、特別なクルーなどを実装しました。


コチョール氏: 私はWargaming APAC パブリッシング・ストラテジー・ディレクターのオザン・コチョールと申します。日本オフィスを立ち上げてからずっと居ますし、プロデューサーであったり、フロア全てを担当したり、ゼネラルマネージャーまでもやったのですが、今は戦略の方を担っていて、「Music 2.0」と絡めて色々お話したいと思います。

――もう少しSabatonについて教えて頂いてもよろしいでしょうか?

山岡氏: Sabatonは、 ヘビーメタルって昔からあるジャンルで、今音楽が進化してきていて なんとなく名前を知っているバンドとかあると思うんですけれども、今一番地球上で人気のあるヘビーメタルバンドの人です。


コチョール氏: ちょうど1カ月前に gamescom でライブを行い、Sabatonがメインでその後山岡さんが2曲ステージに出て一緒にやりました。結構尊敬し合っていて、良い関係になっているので、Wargamingとしてはアーティストをつなぐことができてとても嬉しいです。

――ありがとうございます。このオファーが来る前に抱いていた『World of Tanks』と『World of Warships』(以下、『WoWs』)へのイメージを教えてください

山岡氏: そうですね、世界一売れている無料オンラインゲームで、世界一ユーザーさんも多く、誰でも知っているぐらいのゲームで、『WoT』と『WoWs』を含め巨大なコンテンツだなというイメージでした。プレイヤーで大好きだったので、僕もストラテジーのゲームをPCでよく遊んでいたので「わあ『World of Tanks』からお話きた…!」とビックリというか、光栄でしたね。こんな大きなブランドからお話が来るなんてみたいなのがありました。



スンドストロム氏: はじめてヨーロッパで正式リリースされた時に、Sabatonが読んでいたメタル音楽雑誌に『World of Tanks』の広告が載っており(当時Wargamingの戦略として、プレイヤー獲得の一環としてメタルやロックの音楽ファン向けのマーケティング活動を行っていた)、「あれ?なんだこのゲームは?」ということから、色々な話を聞いたり動画サイトで話題となったことや、Sabatonのファンから『WoT』の話もあったことから、「やっぱりフィット感があるんだな」と思い、実際にプレイするまで時間がかかっていました。ゲーマーであり戦車とメタル、そして『WoT』との相性がいいのかなと思っていました。

――ところで、改めて「Music 2.0」について改めて教えて貰ってもいいでしょうか?

コチョール氏: 「Music 2.0」はコラボレーションだけではないもので、2016年から始まって戦車に関わるサウンドエフェクトを改良しました。本物の戦車を砂漠など生で録音し、リアルなサウンドを提供するために行いました。次のステップとしてSEだけではなくサウンドトラックを全体的に変え、その時からマップに合う音楽(日本だったら日本らしい、砂漠だったら砂漠っぽい)をやりました。



また、オーディオエンジンを変えたことについては(グラフィックエンジンは改良済み、HDマップやHD戦車など)、「なぜHD音楽がないのかな?」とずっと思っていたから改善することになりました。改善点というのがダイナミックオーディオアダプテーションというもので、バトル一つ一つに行っているアクションに沿ってダイナミックに音楽を変えます。

自分が攻撃したらハードな音楽に、防御のスタンスだったらプレッシャーを受けるみたいなゲーム内に行っているアクション行動によって音楽のムードを変える大きなプロジェクトになっています。さらにマップの環境では、山や川、砂漠、森の音など色々違うじゃないですか、森では草の音や風の音など大きくリアルにしたいというのがこのプロジェクトです。森で弾を撃つのと砂漠で弾を撃つのとは音が全然違います。そこまでのリアルや差別化を付けてプレイヤーが遊ぶ時に「まるで戦車の中にいる」という体験を提供するためにやっています。

――山岡氏に質問ですが、Wargamingとの仕事のやり取りで、過去の仕事のやり方と違いがあった部分はありました?

山岡氏: 作り方としては変わったとは思ってなかったんですけれど、今さっき言った「Music 2.0」プロジェクトもそうなのですが、ビデオゲームの歴史を見てもずっとゲームにある音楽は当たり前のように鳴っています。この今の状況の中で「ひとつ変わっていく」というか、単に「音楽が付いて、効果音が付いて」じゃなくて考え方として変わっていければいいなっていうのが、「Music 2.0」だと思います。そういう意味では、作り方は変わっていないんですけれど、「何かを変えていこう」みたいなものはあるのかなと思っています。「Music 2.0」に限らないと思いますが、ゲームにあるべき音楽や音のあり方が変わっていくのかなと思っています。

――ありがとうございます。その中で、山岡氏が担当された楽曲にはどのように「変わった部分」が反映されているのでしょうか?

山岡氏: たぶんクリエイティブな音楽性とか、というよりもゲームの中にある音のあり方や、僕の考え方でもあるのですけれど、音楽というものは停滞というか世界的にも状況やお金的にも成功していないなかで、ゲームって例えば『WoT』であればTVゲームが1台あってダウンロードすればゲームしながら音楽って聴けるんですよね。

まあ、聴けるというか聴いちゃうというか、そこで音楽が好きになって音楽のファンになる。例えばSabatonの曲があればSabatonのファンになるじゃないですけれど。これってまあYouTubeとか、いわゆるCDやラジオとかで音楽を聴くとはまた違うと思っているんですよね。そういう意味でゲームの中にあるべき音とか音楽のありかたって、他のコンテンツというか他の媒体というか、メディアにはない表現というか存在の仕方であって、それに気づくと言うかそれをもっと広げていこうっていうのもゲーム音楽のあり方じゃないんですけれど。


ちょっと複雑な話になっちゃいましたが、そういう「考え方」や「思考の仕方」を変えていこうというのもそうだし、これをもっと「価値として高めよう」というのが 「Music 2.0」のあり方ですし、クリエイティブな表現が入ったから「昔とちょっと違う」とかじゃなくて、ゲームにおける音の存在の変化を「Music 2.0」でやっているという感じですね。「ここの音楽が、こう変わったのでボス戦が気持ちよくなりました」というよりも、もっと広い「ゲームにおける音と鳴り方」の変化という感じですかね。

――難しく深い変化なのですね

山岡氏: さすがに20数年と言うか、テレビゲームが始まってからの歴史を考えれば、当たり前の様に音楽家が音楽をつけて効果音屋が効果音をつけてというのではなく、僕らがもっと変えていく「新しい提案をして新しい価値を作っていく」、それの先駆けが『WoT』の「Music 2.0」の形なのかと思います。

――そうなると「Music 2.0」は「音楽を進化させていく」というのはちょっと言い過ぎかもしれませんが…

コチョール氏: それに近いと思います。

――進化させていくとなればメタル方面からはどんなアプローチがあったのでしょうか?

コチョール氏: メタルって何を想像しているかに関わってくると思うのですけれど、ギターとかドラムを想像して表そうとしていたら、我々のゲーム環境にあまりフィットはしません。今一番大事なのはプレイヤーなのであり、ゲームと音楽表現として結構ヒーローっぽく戦場を戦うものなので、ハードにし過ぎてもメタルにし過ぎてもあまりフィットはしないのかなとスンドストロム氏も思っています。

また、我々が作っている音楽とメタルの共通点はというと「パワフル」と「気持ちよさ」を表すために作っている音楽なので 、その部分では似ている部分もありますし、一番大事なのは我々のゲームの世界観にちゃんとフィットしている音楽スタイルを提供することですから、メタルと関係なく単純に「このゲームにはこの音楽が合う」ということです。他のゲームであったらもしかしたらメタルが合うかもしれませんけれど、我々には世界観としては合わないと言うことですね。

彼もプレイしている時には、そのゲームの為に作られた音楽を聴きたいので、別のプレイリストや音楽をかけることは絶対にしないんですよね。山岡さんのような人がちゃんと考えて、ゲームのために合うものを考えているのを尊重しているし、Immersion(イマーション、没入感)、つまりゲームの中に入っていることが一番大事です。

――ありがとうございます。ところで、「Music 2.0」で制作した中でのお気に入りの楽曲はなんでしょうか?

山岡氏: お気に入りはやっぱテーマ曲ですよね。『World of Tanks』のテーマ曲は何度も聴くのでそうなんですけれど、レコーディングでプラハで収録した時にもその楽曲について 聴いてもいますし、ゲームでも聴いているんですけれど、やっぱり何度も聴く音楽だったりするので、印象的なメロディーとか音楽としての構成もしっかりしているので、僕は一番好きですね。

――今回は『WoT』の「Music 2.0」でしたが、今後は『WoWs』の「Music 2.0」もありえるのでしょうか?

コチョール氏: 今のところはそういうプランはありません 。現在『WoT』のみになっていますが、今後可能性があったらもちろん考えられると思います。今、発表できるところはありません。

――ありがとうございます。最後に、お二人を知らない読者向けに代表作みたいなのを教えて貰ってもいいでしょうか?

山岡氏: 『サイレントヒル』は世界中で好きだと言われていますし、自分は「コレが代表です」というよりも皆が「『サイレントヒル』が代表です」と言われている感じですね。

コチョール氏: 彼は18年ずっと音楽を作っているので、最新アルバムの日本を表すトラックの「Shiroyama」を聴いたら日本の皆様には気持ちがいいのかなと思います。また最新アルバムのヒット作でもあり、実はgamescomのライブで「Shiroyama」と「To Hell And Back」をやっていました。10月14日と15日にさいたまスーパーアリーナで開催されるメタルフェス「LOUD PARK 17」に参加するので、「実際にはどういうバンドなのか?」を知りたかったら自分の目で確認できる機会があるので、是非見に行ってみてください。今回は彼だけでなくメンバー全員ももちろん来るので、衣装とかステージのアレンジメントも結構凄いし、もちろん戦車も出るしWargamingも協賛としています。


また、今回発表した「Tank Factor」というコンテストはプレイヤーさんのためのコミュニティコンテストでして、『WoT』のメインのテーマをダウンロードしていただいて、カバーかリミックスかの2つのカテゴリーがあります。コミュニティの中のプレイヤーさんには「音楽好き」か「音楽をやっている」人も結構いるんですよ。そういう人たちにチャンスをあげて、音楽とゲームを連携して、ゲーマーはゲームとは別にいろいろなことをやっていますし、アマチュアでもリミックスをして送るオーディションみたいになっているんですよ。


色々投票があって、その後ジャッジもあるのですが、オーディオミンスクチームの中で山岡さんが、何が一番上手いのかを選びます。選ばれた20人は、カテゴリー1はカバーで、カテゴリー2はリミックスで10人ずつです(賞品としてプロが使うツールか楽器を貰える)。この二つのカテゴリーで一番上手かった人が、我々がやっている「Wargaming Fest」という12月23日にモスクワで開催されるイベントに招待され、ステージに上がる権利を貰えます。特にカテゴリーで一番上手かった人はステージにて山岡氏と一緒に演奏することになります。プロミュージシャンと共に有名になるチャンスが与えられます(Wargaming Festの参加者は2万人を超える)。

――ありがとうございました。



© Wargaming.net

■関連リンク
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『World of Tanks』
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http://www.sabaton.net/
LOUD PARK 17
http://www.loudpark.com/17/