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CEO・梅崎 伸幸が語る「eSportsシーンにおける2つのキーワード『教育と成長』」【後編】

前回に引き続き、現代日本のeSportsにおける「教育と成長」という2つのキーワードについて語りたいと思います。前編では選手とコーチにスポットを当てましたが、今回はその全体像である「チーム」とその考え方について、私の考えをお話したいと思います。

チームの教育

チームとは、選手・コーチや監督、そして運営スタッフを合わせた総合組織の事です。私が言う「DetonatioN Gaming」は、そのまんまチームですね。そしてこのチームは、誰のために、何のために存在しているのかをよく考え、全員の意識とその目的を共有する必要があります。

他のスポーツと異なり歴史の浅い新しいジャンルということもあり、中核となるスタッフが若く、当然ですが同業の経験を積んでいないので判断が出来ない事案が多く発生することがあります。また、日本のeSportsは物凄いスピードで成長していますが、その速度にスタッフ自身の成長も追い付かなければなりません。

これを放っておけば、考え方に「ギャップ」が生まれてしまい、とてもチーム一丸となって取り組むということが難しくなってしまう訳です。それを防ぐ為にも、「誰のために」「何のために」といった基本的な意識共有は積極的に行わなければならないと考えています。

また、今活躍している各チームのオーナーは、経営者としてはまだ若い20代後半から30代前半の人たちが殆どです。「オーナー」や「責任者」という立場での社会人経験はまだまだ多くありません。現場での経験値を得て、それぞれを1つ1つ積み上げていくだけでは到底、業界の成長スピードに追い付くことができないのです。

これについては、私自身、積極的に情報交換をしていくべきだと考えています。チームのオーナー同士、ある意味敵同士ではありますが、それぞれがこれからの選手のため、チームのため、日本のeSportsのためには協力していくことが必要です。立場的にお互い難しいところもありますが、コミュニケーションは大事にすべきと考えています。

勝つための教育

さて、教育というキーワードからいくつか話をしてきましたが、それではもう一つのキーワード「成長」について。

知識は成長を促すスパイスになりますが、何より、それを聴く選手たちがもっとそのような知識に貪欲になるべきと考えます。もっと貪欲に学んで欲しい。

ただ一人でゲームをひたすらプレイするだけで強くなれる選手―DetonatioN FocusMe(『League of Legends』のチーム)で言えばYutaponタイプ。彼はゲームに触れながらそのゲームのシステムを理解し、どうすれば強くなれるのか、どうしたら勝てるのかを瞬時に見抜く天才です。残念ながら、私を含めスタッフそして他の部門の選手たちでも、どのジャンルでも彼にゲームで勝つことができません。(私が唯一勝てるとしたら、マネーゲームでしょうか…!)―なら、それはそれでいいのですが、それも彼自身の探求心ならではの賜物です。

海外大会を見て研究する、と言ってもその研究が意味するところは、個人の貪欲さによって変わってきます。ただその試合を見るだけではなく、相手の癖や弱点を見抜く、そのチームの得意構成と闘い方を予想する、何故そこで集団戦が起こったか、起こさないためにはどうすれば良かったか…など、常に疑問を持つところからがスタート地点なのではないでしょうか。

また、試合に勝つためには、自分が強くなるためにはどうしたらいいのか、どうすればいいのかという自己分析を徹底的にして欲しいのです。自分はどうすればもっと強くなれるのか、自分の弱点であるマイナスポイントをまず「ゼロ」にするにはどういった考え方をしたらいいのかを、徹底的に見つめて欲しいのです。

プラスをよりぶち抜けたプラスにするより、マイナスを「ゼロ」にする(弱点を減らす)方がより強くなれると、私は考えています。一芸に秀でているのはもちろん大事なことですが、チームという総合戦力で闘う場合、何より各プレイヤーに弱点がないこと、弱点が少ないことの方が圧倒的に有利になれることが多いのです。

例えば…『League of Legends』において、チャンピオンが3種類しか使えないプレイヤーとチャンピオンプールが無制限のプレイヤーがいた場合。どちらが有利になれるでしょうか?相手が使えるチャンピオンをBAN(ゲームにおいて利用不能に選択し、省く行為)してしまえば、相手の問題をより複雑にすることが出来るし、こちらのチームは自由に選択をすることが出来るようになります。

プレイヤーの弱点をチームが補うことは、実際にはマイナスです。何よりも、そのプレイヤー個人が弱点を克服して初めて「ゼロ」からスタートできるようになるのです。

教育と成長

前回からここまでと長くなりましたが、これらのことを、チーム全体が、チーム全員が共通認識として理解し、より貪欲に「勝つ」ために何をすればいいのかを考えること。そしてそれが必要であることを常に誰に聞いても分かること。ベースとして大事なのは、これらの「共通認識」をチーム(選手、コーチ、監督をはじめ運営スタッフなど)が情報交換しつつ、基本(ベース)としながらもよりよいものへと常に改善していくことだと考えます。

また前回述べた、技術継承の場や定期的な講習の場を作り、広げていくこと、そして、この体制を守ることが、歴史浅いこの日本eSportsが世界で勝負するために必要な事なのではないか、と。これが私の次のミッションになるのではないかと、今は考えています。

この話を、また明日、チームとしてみたいと思います。


■梅崎氏の連載「CEO・梅崎 伸幸が語る」
「DetonatioN Gamingのスポンサーに、何故ナショナルクライアントが付くのか?」
「eSportsシーンにおける2つのキーワード『教育と成長』」【前編】

■梅崎 伸幸氏のプロフィール
1983年7月1日生まれ。プロeSportsチーム「DetonatioN Gaming」のCEO。同時に株式会社「Sun-Gence」代表取締役社長、「日本プロeスポーツ連盟」共同代表理事と、多岐に渡る立場から日本のeSports発展を牽引し続ける。日本初の給与制プロゲーマーチームとその体制を発足させたパイオニアであり、さらに同じく日本初となるeSportsカリキュラムである、「東京アニメ・声優専門学校」のeSportsプロフェッショナルゲーマーワールドコースにて教鞭を振るうなど、後進の育成にも精力的に携わっている。

■関連リンク
梅崎 伸幸氏のTwitter
https://twitter.com/lgran_jp
DetonatioN Gaming
http://team-detonation.net/
株式会社Sun-Gence
http://sun-gence.co.jp/
日本プロeスポーツ連盟
http://jpef.or.jp/