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「Worlds 2020」前に読んでおきたい、新型コロナウイルスと2020年の『LoL』競技シーン

2020年初頭に報告され、世界各地で現在も感染拡大が続いている新型コロナウイルス(COVID-19)。この感染症は世界のあらゆる場所に影響を及ぼし、多くの人々は健康と安全の観点から、生活様式を変化させることとなった。

その影響は非常に広い範囲に及んでおり、その中には『リーグ・オブ・レジェンド』の競技シーンも含まれることとなった。従来のスポーツやイベントに比べれば、eスポーツはオンライン開催という方式でも影響を受けにくい性質ではあるが、それでも各地のリーグや国際大会に及ぼした変化は少なくない。

レギュラーシーズン、プレイオフ、そして9~10月に開催される世界大会「Worlds」と、2020年の競技シーンでどのようなことが起こったのかを、「Worlds」を前に振り返っていく。

世界各地での春・夏のプロリーグ運営

世界各地のリーグは、1月の末頃から2~3カ月で春スプリット(Spring Split)と春プレイオフを行っている。この時期は新型コロナウイルスの感染拡大が本格化してきた時期に当たり、各地のプロリーグは対応を迫られることとなった。

リーグ開催時期も早く、また問題が早期から出ていたLPL(中国)やLCK(韓国)では、開幕していた春スプリットを一時中断。再開後は無観客試合やオンラインでの試合の実施と、選手や出演者、そして観客に感染症が広がらないよう、厳重な対策を取った。可能な限り接触を抑えたかたちでリーグを進めるこの方式は、プレイオフも含めて継続された。時期こそ多少前後したが、LJL(日本)を含めた全てのリーグでほぼ同一の対応が取られることとなった。

▲選手・出演者・関係者・配信スタッフなど、リーグ運営に携わるすべての人員に対して、リーグ運営のために感染防止行動が求められた。手指消毒や検温、マスク着用が徹底され、最小限の人数で運営される

▲試合開始前に選手席で準備を行うFaker選手。選手席を囲む観客席は全て無人だ


一方で、夏スプリット(Summer Split)の時期となる5月末以降は、地域によっては感染状況の収束、あるいは感染予防に関するガイドラインの確立によって状況は改善された。2020年8月時点でも観客を会場に迎えてのリーグを行っている地域はないものの、一部のリーグでは従来の会場に選手たちが戻り、無観客オフライン開催にて試合を行っている。

また、大きな会場で開催予定だった春のプレイオフが予定を変更してオンライン開催となった点を踏まえて、夏のプレイオフはあらかじめオンライン開催であることを前提として様々な趣向を凝らした地域が見られた。

VR空間でも会場を準備し、観戦イベントを実践したLJL。ARで真っ白な石造りの会場を用意し、デマーシアにして見せたTCL(トルコ)。巨大なチャンピオンたちが都市で戦う華々しい演出を行い、選手ブースを高層ビル最上階に設けたCBLoL(ブラジル)。アナリストデスクで海賊風の解説者が試合を分析するビルジウォーター風のLCL(ロシア)。新しい状況で、より良い観戦体験に向けた工夫が様々な地域で行われた。

▲バーチャルSNS「cluster」内に設けられたLJL Summer Finals会場は、ヨシモト∞ホールを模した構造。LJLキャスターのkatsudion氏とLillebelt氏がVR内観戦体験を盛り上げた

選手たちへの影響

新型コロナウイルスの感染予防のため、今年の競技シーンは例年とは大きく異なる状況で進められることとなった。無観客試合や、オンラインでの試合、移動の制限は選手にも大きな影響を与えていたようだ。

観客の反応の有無や、スポットの当たるステージ上とゲーミングハウスからのオンライン試合での違いが良くも悪くも異なるということは、試合後のインタビューで選手の口から語られることもあった。

▲オンライン開催となったリーグでは、選手はチームの練習施設や自宅から試合に出場する。試合後の選手インタビューもオンラインだ

LJLの場合は、春のレギュラーシーズン終了後に渡航関連の制限が厳しくなったため、選手が夏スプリット開始の際にチームへの合流ができなかったという事態も見られた。今シーズンからLCS(北米)に移籍した選手などは、春夏通してなじみのない国で一人で過ごすような状況となってしまい、非常に苦労していたようだ。

このようにリーグに参加している選手としての影響とは別に、移籍市場での影響も大きかった。地域をまたぐような移籍は著しく困難な状況となってしまったので、例年と比較しても春夏間の移籍は小さかった。地域間での移籍は全体に低調で、ほとんどは出身地域に戻る形で行われたものに留まった。数少ない例外は、春にLECのMisfitsに所属していたBvoy選手がCBLoLのFlamengo eSportsへ移籍したことと、同じくヨーロッパ地域で活躍していたYamatoCannonコーチが韓国に渡り、LCKのSandboxに移籍したぐらいである。

「Mid Season Invitational」は中止に

大規模なプレイオフが軒並みキャンセルとなり、オンラインで春スプリットの王者を決定した各地リーグ。例年であれば各リーグの優勝チームは春夏間の国際大会である「Mid Season Invitational(MSI)」へ出場し、その年の中間地点で各地域の強さを競い合うのが常である。しかし、2020年の5月は海外渡航が著しく困難で、かつ安全面での課題もあることからMSIは中止となった。代わりとしてLPL/LCKの春上位チームによる大会「Mid-Season Cup」が行われ、並行して各地域がバトンを渡しながら配信を行う「ミッドシーズン ストリーミングマラソン」も実施された。

▲LoL Parkからオンライン開催の国際大会となったMid-Season Cupに出場するLCKチームたち。中韓両地域の競技条件を公平にするべく、ネットワークラグを平等に適用するなどの処置が取られた

各地域のトップチームがそろい踏みとなる「MSI」とは異なるものの、強豪リーグの上位チームが揃い、「Worlds」でなければ見ることができない選手たちの対戦が実現したイベントを視聴者は大いに楽しむことができた。

そして「Worlds 2020」へ

感染予防を実施しながら各地域のリーグが夏スプリットを進める中、観戦ファンはみな「Worlds」が開催されるかどうか、常に不安を抱えていた。

そんな中、Riot Gamesは「Worlds 2020は本来の予定とは異なるものの、上海で厳格な感染予防を行いながら実施する」との発表が成された。選手および関係者を特定のエリアに隔離し、外部との接触を断つことで感染拡大の可能性を抑えながら大会を実施する「バブルシステム」と呼ばれる方式での開催である。

▲毎年恒例のWorldsテーマソングも2020年版が登場。過去の世界王者が新しい挑戦者を迎え撃つ「継承の時(Take Over)」シネマティックPVが公開中

現時点で、すでに参加チームは大会を実施するホテルに移動し、自己隔離を行いながら「Worlds」開始に備えている。

残念なことに、VCS(ベトナム)から出場予定だった2チームは、ベトナムへの再入国に関する制限が厳しかったために参加辞退となってしまった。このため、プレイインおよびグループステージの参加チームや方式に若干変更が加えられたものの、全世界から22チームが集まり、2020シーズンの頂点を決める戦いが始まろうとしている。異例づくしの大会ではあるものの、最強を目指しぶつかり合うゲームであることに変わりはない。行動制限を含めた厳しい状況下であっても、死力を尽くすチーム、そしてプロ選手たちの戦いぶりを応援したい。

執筆:山口佐和子
執筆協力:ユラガワ
写真出典:LoL Esports Photos、LCK公式Flickr

『リーグ・オブ・レジェンド』
http://jp.leagueoflegends.com/
LoL Esports Worlds 2020 試合スケジュール
https://lolesports.com/schedule?leagues=worlds
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Worlds 2020 データページ(Leaguepedia、英語)
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