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「EVO Japan」運営委員長 ハメコ。氏に聞く<前編> 大会にかける熱い想いとは<前編【シブゲーアーカイブ】

※本記事は「SHIBUYA GAME」で掲載された記事のアーカイブです。当時の内容を最大限尊重しておりますが、ALIENWARE ZONEへの表記の統一や、一部の情報を更新している部分もございます。なにとぞご了承ください。(公開日:2018年1月18日/執筆:コイチ)

あけましておめでとうございます、コイチです。今年もSHIBUYA GAMEでゆるゆると記事を書いていくのでよろしくお願いします。

さて、いよいよ開催まで1週間と迫ってきた「EVO Japan」(2018年1月26日から3日間開催される格闘ゲーム大会)ですが、今回は運営委員長の「ハメコ。」氏に、現在の進行状況や「EVO Japan」にかける思いについて生声を聞いてきました。これまでにない情報も聞くことができたので、「EVO Japan」に参加される方はもちろん、大会の行方が気になる方は要チェックです。

「EVO Japan」のエントリー数は想定以上!

コイチ:本日はよろしくお願いします。EVO Japanについてはもう何度かインタビューを受けているかと思いますし、同じことを聞くのも野暮なので、今日はハメコ。さんの心境や本音を聞かせてください。

ハメコ。:なるほど(笑)。なんでも聞いても下さい。

コイチ:もう開催間近ですね。本番まで1ヶ月切りましたが準備の状況はどうですか?

ハメコ。:進行中なんだけど、現状で一番不安なのはエントリー数が多すぎること。想定の1.8倍は来てます。我々運営チームは各々それぞれのタイトルの大規模大会に関わっているので、そこでの肌感覚を元にエントリー数を想定していたんですが、それを軽々超える事態になってしまって。今、なんとか終わらせるためのプランを練っているところです。



コイチ:エントリーはすでに締め切りましたっけ?

ハメコ。:2017年12月31日までなので、ここ1週間で滑り込みエントリーが増えそう。あと各タイトル100人ずつは来るんじゃないかな。(取材日は2017年12月下旬。エントリーはすでに締め切られています。)

最終的なエントリー数は以下の通り SFV:2286 GGXrdRev2:1229 鉄拳7:1223 スマブラ:794 BBCF:632 KOF14:556 ARMS:337

ハメコ。:とくに スマブラは、隠しキャラクターやステージを解禁したWiiUが必要になるので、機材の調達がすごく難しくて。コミュニティの方々にもご協力頂いています。

コイチ:嬉しい悲鳴ですが、なんでこんなに増えたんでしょう?

ハメコ。:無料エントリーであること、そして海外勢のエントリーが非常に多く、全体の4割弱を占めているのが主な理由かなと。……まあ、無料エントリーなんで実際に来るのはそのうちの何割かになるんでしょうけど、もし全員来たとしても終わるプランを考えておかなければいけないのが悩ましいところですね。

コイチ:格闘ゲーマーってこんな居たんだ!?って感じですよね

ハメコ。:そう。今回のエントリー見てて一番思ったのがそれです。20年以上格ゲーやってきた経験から、「 大会に出るようなプレイヤー数は大体これぐらいだろう」っていう想定はしていたけど、遥かに超えてしまった。

コイチ:要因は?

ハメコ。:やはり「EVO」のブランド力だなと思いましたね。他の大会名でやってもここまでは集まらない。

コイチ:一番EVOに近い大会に関西の「KSB」がありますが、あのエントリー数が目安だと思ってました。

ハメコ。:でも『鉄拳7』でいえば、日本からのエントリー数はMASTERCUPの人数(1000人超)は超えられてないから、「日本のプレイヤーはやっぱり チーム戦のお祭り感を好む人も多いんだな」ということも改めて知ることができましたね。

コイチ:海外勢が多い点については、日本人のEVO参加者が増えたことや、CAPCOMプロツアーでプロ達が世界各地を回っていたことも、日本に対するイメージを変えたのかなと思います。

ハメコ。:海外勢の「一回日本に行ってみたいけど、どのタイミングで行けばいいかわらかない」っていうニーズに対して訴求できたのかな、と。

コイチ:賞金も出ますが、そこまで夢のある額でもない(失礼)ですしね。

ハメコ。:逆にいうとeスポーツで賞金がうんぬんという話がよく出ますが、賞金があれば盛り上がるものでもないし、賞金がないからといって盛り上がらないわけでもないんですよ。任天堂さんのタイトルでは賞金もないですし。けど充分なエントリーがある。もちろん、国内でも賞金付き大会が継続的に行われる状況になってくれるのが理想ではありますが、少なくとも「人数を集めるうえで賞金は必須ではない」と思っています。



コイチ:この人数が集まった時点で、EVO Japanを制した時の"価値"はものすごい高いものに感じます。

ハメコ。:国内では、500人を超えるような個人戦って数えるほどしかなかったですからね。そういう意味では、人が集まってくれたことで完成するので、エントリーという前段階というところでは、まずは良かったなと。ただエントリー人数が多すぎるので不安もありつつ、という感じですね。

サイドトーナメントタイトルの選考基準は「モチベーション」

コイチ:あとやはり気になるのはサイドトーナメントの開催についてです。会場のキャパシティを考えると実現可能なのか不安がありますが。

ハメコ。:集まりすぎるタイトルに関しては制限を設けて開催してもらう形にしました。100人を超える大会もありますし。かなり色々なタイトルで応募して頂いたんですが、泣く泣く落選とさせてもらったものも多かったです。

コイチ:タイトルの選定基準っていうのはあったんですか?

ハメコ。:これまでのEVOの考え方だと「サイドトーナメントは野試合スペースで勝手にやってくれ」というやり方だったし、最初は自分もそう思っていたんだけど、40~50タイトルも来るとさすがに選ばざるを得なくて。そこで、「 なるべく沢山の人に満足してもらうにはどうすれば良いか?」と考え、必ず一定数の人が楽しめるであろう“大会”にフォーカスすることにしました。



コイチ:『らんま1/2』とかも意外でしたね

ハメコ。:『らんま1/2』のコミュニティの方々はモチベーションも高く、かつ大会運営経験も豊富のようだったので、これなら限られた時間内で大会をやってもらえるだろうと考えました。個人的な考えでは、もともと人気のあるタイトルだけじゃなく、ふらっと立ち寄った人にとって新しい発見があると良いなと思ったんですよね。「一部の人しか知らないけど、ちゃんとコミュニティがある」ということを、ほかの格闘ゲームファンにも知ってもらえたらなと。

コイチ:「なんでやりたいか」っていうのは重要ですね。コミュニティが動いているっていうことを広めるためなら、どんどん表に出てほしい。

ハメコ。:そうだね。おれもそれが大事だと思う。でも『DOA5』(デッド オア アライブ5)とか『バーチャ』(バーチャファイター)が無いのはちょっと寂しいね。いずれにせよ、出来る限りいろんな人が楽しめるようにします。 海外目線で選ばれた「ギーク」な会場 コイチ:続いて会場について聞きたいんですが、予選は池袋のサンシャイン、本戦は秋葉原のUDXとのことで、選定の基準はやはり「都内」というのがポイントでしょうか。

ハメコ。:もっとも問題になったのは、やっぱり日程でしたね。イベント会場が中々空いてないんですよ。

コイチ:ラスベガスっていう土地は観光地だし特別感があるじゃないですか。日本で言うとラスベガスみたいなところは、どこだろう(笑)。

ハメコ。:沖縄とか(笑)。そういう案もあるにはあったんですけど、海外から参加する人のことを考えると秋葉原や池袋といった、所謂「ギーク」な人達が好む要素があるところで開催したかった。海外の人が日本を楽しんでもらうんだったらありかなと。

コイチ:伝説になった闘劇2012(※)みたいな環境も楽しかったんですけどね

※闘劇2012…千葉県成田市下総運動公園で開催された屋外での全国大会。真夏の炎天下による筐体トラブルや熱中症との戦いなど、ゲーム外の環境によるアクシデントが多かったものの、参加者には思い出深いイベントとして今も語り継がれている。

ハメコ。:場所とか宿泊とかそういう部分がクリアされれば、本当はそのほうが自由度が高くて良いんだけど、今回の場所選定については海外勢を踏まえたという感じです。



コイチ:池袋に世界中のゲーマーが集まるのも相当圧がありますね。

ハメコ。:会場のスペースに余裕があるわけじゃないけど、近くにゲームセンターがあるから、『ギルティ』(GUILTY GEAR)とか『鉄拳』は練習しにいけるのもいいかと。

コイチ:当日の池袋GIGOとか大変なことになりそう(笑)。

ハメコ。:これは個人的な考えだけど、EVO自体を楽しんでもらうのももちろんそうなんだけど、格闘ゲームを好きな人がEVOという取り組みを利用してくれるのが一番良いんだよね。誰もが何度も勝てるわけではないし。だから、会場近辺のゲーセンが盛り上がったりとか、日程近辺の対戦会に人が集まったり、そういう影響を及ぼせるかどうかが大事だと思ってます。

コイチ:EVO Japanの存在をゲームセンターで知るって言う人も多いかと思います。

ハメコ。:なんか今日すげー人多くね?みたいな(笑)。池袋を選んだ理由はそんなところなんだけど、会場選びに関しては、やっぱりちょっと見込みが甘かった。これだけの人数を回すとなると、前例がないぐらい機材を集めないといけないし、大会自体のスケジュールもかなり厳しいものになるしで、参加選手の皆さんには色々とご迷惑をかけてしまっているなと。

コイチ:カードゲームの大会などでもサンシャインは使われていますが、一度に数千人という規模は見たことがないですね。

ハメコ。:立地自体は良いので、待ち時間にゲーセンに行ったりご飯食べたりだとか、会場内にも色々な企業ブースが出展されていたり、あんまり見たことのないタイトルの大会をやっていたり、格闘ゲーマーであれば退屈はしないかと思います。


やり込み期間は1週間!『ストリートファイターV AE』を採用した理由

コイチストリートファイターVがEVO Japan直前の1/18にアップデートされますが、旧バージョンでやるか新しいアーケードエディション(AE)でやるかの議論はあったのでしょうか。

ハメコ。:現行の格闘ゲームって、そもそも「古いバージョンを練習する」のがほとんど不可能じゃないですか。そんななかで古いバージョンを取り扱っても意味がないので、AEでやる方向に決まりました。

コイチ:新作出てるのに昔のバージョン練習できませんしね

ハメコ。:「一週間やり込んだおれの戦法を見てくれ!」っていう感じになるかと思いますが、全員がそうなるわけで、それはそれで面白いはずです(笑)。

コイチ:おれも1週間さくらで頑張ります(笑)。 会場の盛り上がりを伝えられる配信に コイチ:EVO Japanの配信環境ってどうなるんですか?

ハメコ。:各タイトルの配信はOPENREC.tvで、メインステージはAbemaTVで放送することになりました。なお、サイドトーナメントに関しては、「インターネット回線をお渡しするんで好きにやってください」という感じです。AbemaTVの方では、会場内カメラを使って選手を追いかけたりもするみたいなので、そちらも是非お楽しみに。


コイチ:すごい!

ハメコ。:最終日もAbemaTVで全て放送しますんで、各々好きな楽しみ方をしてくれればと思います。

コイチ:Twitchは使うのでしょうか。

ハメコ。:海外向けにはTwitchですね。英語系はTwitchにお願いしてます。

コイチ:海外の配信見ると、カメラに映るのは基本的に解説と試合の往復ですよね。

ハメコ。:それだとどれくらい会場が盛り上がってるかがわかりづらいので、会場内カメラを使った企画を出してますね。色んな絵が見せられるかと。

コイチ:メディアの取材とかは結構入るんでしょうか

ハメコ。:メディアパスの受付も始まっているんですけど、今来てるのはレユニオンという国のメディアです。マダガスカル島の隣の国。KOFが流行ってるらしく。

コイチ:初めて聞きました(笑)。国内メディアとかテレビとかも来てほしいですけどね。

ハメコ。:ゲームメディア以外からも色んな話はいただいているので、どうなるかわからないですけど、これから取り扱ってくれたらうれしいですね。今のところEVO Japanには歴史もないし、新しいゲームのイベントやってるよ、くらいに取り扱ってほしいかなと。

格ゲー好きなら誰でも参加できる大会にしたい

コイチ:ハメコ。さんが考えるEVO Japan開催の目的はどこにあるのでしょう。今後の見通しなどもあれば教えてください。

ハメコ。:おれらが決められることではないけど、定期開催したいという気持ちはありますね。理由としては、今eスポーツがどうこう言われてますけど、「何に価値があるのか」というと、歴史を持っている人、歴史のあるタイトル、歴史のある大会っていう所で、歴史がないと皆が認めない。なので、続けていかないと意味がないんですよね。

コイチ:今年(2017年)の闘神祭なんかはすごく評判が良かったのですが、他の国内大会との差別化はどう考えてますか。

ハメコ。:あれはうちらがサイドイベントをやるのとかと似たようなやり方でしたね。アーケードにあるゲームを全部入れちゃおうっていう。「ゲームセンターを楽しんでくれる人全員を楽しませよう」っていう気持ちが溢れてて、それが良かった。

コイチ:見て楽しい、やって楽しい、居るだけでも楽しい、すごい空間でしたよね。

ハメコ。:EVO Japanは「格ゲーを好きな人なら誰でも色んな形で参加できる」という点を目指しています。オープントーナメントを日本でやるのはかなりしんどいけど、それを何とかやっていきたい。その中で楽しいと言ってくれる人が増えればイベントの価値みたいなものも高まるし、優勝した人もその分認められるようになる。けど、そこはうちらが決めるわけではないので、間口を広げて色んな人に参加してもらう。他の大会との差別化ではという点では、そこが一番重要なんじゃないかな、と。



コイチ:確かにEVO Japanは「誰でも参加していいよ」っていう空気がありますよね。エントリー状況を見ても、毎回参加するような格ゲーマー以外に、サラリーマンの方なんかもEVO Japanなら出るか、という空気になってます。

ハメコ。:そこがなんでそうなってるのか不思議なんだけど、なんでなんですかね?その魅力を我々がすでに演出できてるかと言うと、ぶっちゃけまだできてないんですよ(笑)。だって初めてじゃないですか。どうなるかわからないのに、謎の信頼を得てしまってるのが全然わからなくて(笑)。でも、その期待感にできれば応えたいです。

コイチ:今回の開催で、次回参加するか判断されてしまいますからね。プレッシャーだと思いますが、期待してます(笑)。

ボランティアスタッフには様々な人が手を挙げてくれた

コイチ:ボランティアスタッフを集めていたと思うんですが、どのように集められたんでしょうか。

ハメコ。:単純に「自分のできることを書いて送ってきてください」といった感じです。すでに100人くらい集まりました。

コイチ:100人!

ハメコ。:そんなに大変なことを任せるつもりはないんだけど、エントリー数が多いだけに、試合を見てもらって勝敗だけはちゃんと見るスタッフ、みたいに配置しようかと。

コイチ:海外の方へのケアとかどうなるんですか?

ハメコ。:そこもちゃんとボランティで「英語対応できます」っていう人を集めていたので、そういう人にお願いしてやっていく感じですね。

コイチ:そこらへんは集まっている、と

ハメコ。:むしろやっていただける方がこんなにいるんだ、という感じです。ありがたいことです。

コミュニティを1つに……?

コイチ:では最後に。EVO Japan立ち上げ当初「コミュニティを1つに」というキャッチコピーがありましたが、コミュニティには1つになりそうですか?

ハメコ。:まあ、そんなに簡単に1つにはならないですよね。違う国家みたいなものだし。

コイチ:(笑)。

ハメコ。:もちろん「コミュニティを1つに」というのは嘘偽りのない本心ではあるんですけど、全部を円滑にすすめるのはなかなか大変だなと(笑)。とはいえ、「色々なタイトル / コミュニティを1つの舞台に集める」ことで、別々のコミュニティの人たちが知り合ったり、他のものに興味を惹かれたり、そのための第一歩になってくれればと願っています。

コイチ:ありがとうございました。

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