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ナスリ選手とJeSU羽染貴秀氏が考える『FIFA20』eスポーツの未来とは? 「inゼリー esports WORLD CHALLENGE CUP2019」レポート

10月5日、秋葉原のガジェット通信フロアにおいて、eSports Conference #13が実施され、そのメインイベントとして、森永製菓株式会社主催による『FIFA 20』を使用したeスポーツイベント「inゼリー esports WORLD CHALLENGE CUP2019」が開催された。

イベントの第一部では、森永製菓がトップアスリートを支援するために30年以上運営している「トレーニングラボ」についてのトークショーが行われた。「トレーニングラボ」では、プロテニスプレイヤーの錦織圭選手や大坂なおみ選手、元フィギュアスケーターの浅田真央さんらもサポートしている。


今回から「for esports」というかたちでeスポーツ分野にも進出し、横浜F・マリノスeスポーツチーム、Burning Core、JUPITERといったチームへのサポートを発表。ゲームをプレイする上で役に立つエクササイズなどをウェブサイトを中心に紹介していくという。この日は横浜F・マリノスに所属し「シャドウバース」で活躍しているあぐのむ選手が登壇。トレーニングやコンディション維持の重要性について語ってくれた。


「inゼリー esports WORLD CHALLENGE CUP2019」優勝はナスリ選手

続いて第二部では、発売直後の『FIFA20』を使用したおそらく世界初の大会「inゼリー esports WORLD CHALLENGE CUP2019」が開催され、横浜F・マリノス所属のナスリ選手、名古屋グランパス所属のミノ選手、湘南ベルマーレ所属のスレッジ選手、Blue United eFC所属のつぁくと選手の4名が総当たり戦で激闘を繰り広げた。実況は岸大河氏、解説は羽染貴秀氏。

いずれの試合も接戦となったが、最後は世界の舞台で戦い抜いてきたナスリ選手が、「eJ.League」覇者のミノ選手を振り切り、勝ち点7を獲得して優勝。優勝賞品「海外武者修行用の航空券」および「inゼリー1年分」を獲得した。

▲左からミノ選手、ナスリ選手、つぁくと選手、スレッジ選手

ナスリ選手「プレイヤーにリアルサッカーの経験があればもっと戦える」

試合を終えたナスリ選手に、『FIFA20』の手応えと、世界を戦ってきた立場からこれから登場するであろう『FIFA20』の若い選手たちへのアドバイスを伺った。


ーー『FIFA20』は前作と比べて異なる点はありますか?

ナスリ:ディフェンス面が強くなっていて、上手い人同士だと中々点が入らなくなっていますね。お互いシュート数0で延長戦、PK戦に行っちゃう試合も多いです。

選手の動きはリアル度が増していて、前を向いているときに他の方向にパスは出せないというのはサッカー好きの人にとってはいいところかなと思います。

ーーeスポーツとしての『FIFA』の盛り上がりは、日本と世界ではどう違うでしょうか?

ナスリ:お金の面も含めて、やはり世界の方がレベルも高いですし盛り上がっています。今日自分にはコーチ(CCV氏)が付いていたんですけど、世界ではコーチが付いているのは当たり前なんです。

今後に向けて自分たちができるのは、まず『FIFA』をうまくなることだと思います。今回は海外から選手を呼ぶ予定だったのですが、事情によりキャンセルになってしまいました。でも今までは呼ぶことさえできなかったので、自分も含めて日本の『FIFA』が世界から注目されるようになっているんだと思います。

ーーこれからナスリ選手たちを追いかけてくる若い人たちが世界で戦うには、何が必要だと思いますか?

ナスリ:まずリアルのサッカーの基礎をわかってないと難しいかなと思います。見るだけでもいいですけど、実際にやった知識があると、もっと戦えるようになると思います。

羽染貴秀氏「ゲームとしての『FIFA』を楽しませるために実況・解説が重要」


 
現在はJeSUの職員である羽染氏は、かつて『FIFA』のトッププレイヤーとして世界大会に出場した経験を活かし『FIFA』を中心としたeスポーツ大会の実況、解説としても活躍している人物だ。

今回、羽染氏が考える現在のeスポーツシーンやeスポーツ実況の未来について貴重なお話を伺うことができたので、ここで公開させてもらおうと思う。

ーー日本でのeスポーツの盛り上がりについてどう感じておられますか?

羽染:eスポーツに関しては間違いなく右肩上がりだと感じています。eスポーツの認知度は間違いなく上がっていますし、ここ秋葉原では知らない人がいないくらいの市民権を得ていると思います(笑)。

この盛り上がりをどうビジネスに変えていくか、特に選手にどうお金を落として行くのか、というところを含めて基盤を作らなければいけないというのが、これからの課題だと捉えています。

今回のような取り組みの中で、eスポーツトレーナーのような科学的なメスが入ったり、選手がそれを参考にして海外にチャレンジして活躍し、ファンが増えて基盤が固まっていくように、今は言葉だけではなく認知されて行く段階だと思っているので、今日のイベントは第一歩となるのではないかなと思います。

ーー『FIFA20』という競技についてはいかがでしょうか?

羽染:国内に関してはコミュニティも含めて横ばいだと思っています。強い人はいるけれど活躍する場所がないというところがあって、今大会だと3選手がJリーグのチームに関与していますので、『FIFA』というタイトルがもっと認知されて選手層も厚くなっていって、世界大会を目指すところまで伸びていくんじゃないかなと思います。

コミュニティとしては、ナスリがいる、ふぁくとがいる、ミノがいる、スレッジもいますので、そこが地盤になっています。さらに一歩脱却するためには、リアルサッカーメディアがちゃんと追いかけてくれたり、Jリーグクラブが追いかけてくれたりというところですね。

ーーサッカー“ゲーム”の魅力というのは、解説では中々伝わらりづらい部分がありますよね。羽染さんはどのようにお考えでしょうか。

羽染:それについては私も研究しておりますので、いずれどこかで発表するつもりでいます。

サッカーゲームは極論を言うと、上から俯瞰で見た画面で同じような選手がサッカーをしているシーンが続くだけなので、観るコンテンツとしては限界を感じています。eスポーツとして成立させるためには、選手のプレイはどこがうまいのかをちゃんと伝えなければいけないんです。

今回の解説では、1シーンごとに分解し、どんなドラマが生まれているのかを聞き手に理解してもらえるように意識して話していました。

例えば、シュート2本を同じようなシチュエーションで打ったとして、1本目と2本目でオフェンス側はフェイントなどを入れてどう差をつけたのか、ディフェンス側はどう考えて対応したのかというポイントをきちんと言葉にするよう気を付けました。これをしないといつまで経っても、クリスティアーノ・ロナウドやメッシ(のキャラクター)がすごいという話になってしまうんです。

そうではなくて、プレイヤーがうまいんだよということをどんどん言わないと、サッカーゲームのファンが増えていかない。大会の中で初見の人にもサッカーゲームの魅力を伝えられる解説者の存在は重要だと思います。

ーーその点は、『FIFA』というゲームの構造的にも難しい問題ですね。

羽染:どうしても同じようなシーンが多くなってしまうサッカーゲームの中で、今そこで何が起こっているのか伝える力を持つのは“言葉”なんです。いろいろなところでイベントをやっていますが、サッカーゲームの魅力を啓蒙していくのも、私の役目なのかなと思っていますね。

※ ※ ※

ナスリ氏、羽染氏のお話に共通していたのは「eスポーツは盛り上がっているがまだまだ先がある」という点だ。特に世界との報酬面での差は大きく、この点が整備されなければ日本のサッカー系eスポーツが世界と対等に上り詰めるのは難しいということだった。資金があればより競技に集中することができ、トレーナーやコーチから十分な指導を受けることもできる。

特にこの日の試合では、優勝したナスリ選手には『FIFA』の有力プレイヤーでもあるCCV氏がコーチについていた。CCV氏がナスリ氏の試合を見守る光景は、孤独な戦いを強いられるプレイヤーにとっては戦術面のみならず、精神面でも大きな支えとなっているのがはっきりと見て取れた。

しかしながらコーチを雇うには当然お金がかかる。この光景が日本でも当たり前になるためには、eスポーツの市場をさらに大きくすことが必要不可欠といえるだろう。

■関連リンク
eSports Conference #13
https://eventregist.com/e/eSportsConference1005
トレーニングラボ for esports
https://www.morinaga.co.jp/in/support/labo/esports/
FIFA20
https://www.ea.com/ja-jp/games/fifa/fifa-20


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