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最新環境ならではの名勝負ばかり。「True Overwatch Elite #3」大会観戦リポート&主催者インタビュー

環境の変化に対応できるか?巧みなヒーローピックが冴えわたった優勝チームは


2017年3月、abara氏の個人開催による『オーバーウォッチ』オンライン大会「True Overwatch Elite #3」(以下#3)が6日間に渡り開催されました。個人開催となるとカジュアルな大会のイメージが先行しますが、今大会は多くのスポンサードを受け、豪華賞品も用意された本格的な大会です。また、大会の模様はTwitchにてabara氏本人と、解説にNonke氏を招いての実況付きで配信されました。


3つのグループ、ならびに直前まで飛び入りを受け付けていたワイルドカードから、プレーオフ進出チームを2チームずつ決定。勝ち抜いた8チームがプレーオフで激突することに。

今回の#3からは対戦形式を基本はBO3(2本先取勝利)、セミファイナルではBO5(3本先取勝利)、グランドファイナルではBO7(4本先取勝利)に、試合形式を海外では主流のライバルプレイ準拠に変更。集まったチームも実力派ばかりで、予選の段階から名試合の連続となりました。


マップピックのルールは上画像の通り。また、トーナメントで敗れたチームはルーザーズのトーナメントに移動。そこで勝ち抜けば、逆転トップに返り咲くチャンスがある。

3月11日、12日、18日、19日の4日間に行なわれた予選で多く見られたのは、現在の『オーバーウォッチ』環境でも強力とされる、ダイブ構成による華麗なストレート勝利。逆にタンク構成を多用するチームは、ラインハルトやザリアで堅実に立ち回りつつ、ソルジャー76やマクリーと連携しての強力なアルティメット放出で優位を生み出していました。どちらかに偏った構成のヒーローピック(キャラクター選択)が多く、その構成の強みを相手に妨げられることなく、一気に勝負を決めているチームが多かった印象です。

タンク構成のチームも地味ではなく、魅せる戦いをしてくれました。ワイルドカードのNaturals北海道 vs XJ9の試合はオーバータイム数秒で形勢が逆転し、予選の中でも特に手に汗握るシーソーゲームに!

また、どちらの構成でも堅実な立ち回りで、フランカー(遊撃手)として普段は火力が出しづらいものの、ゲージを溜めて放つアルティメット「龍撃剣」で敵チームを一気に切り刻むゲンジを使う選手たちの活躍が目立ちました。最近のアップデートによるアナの弱体化でダイブ構成の総合火力は下がりましたが、ファラとマーシーの組み合わせがより立ち回りやすくなり、それをお互いのゲンジやマクリー、ウィンストンといったフランカーや、ラインハルトやD.Vaといったタンクヒーローでどう対処するか、それを成功させたチームが一気に流れを掴んでいた印象です。

アルティメットの破壊力がずば抜けているゲンジ。対処法はいくつかあるのですが、予選では巧みに裏取りするなどして封じていくプレイヤーが多く見られました。こうなると4キル、5キルは当たり前の高火力です。

いわゆるファラマーシーと呼ばれる、ファラによる空爆とそれを同じく飛行しつつサポートするマーシーの黄金タッグは健在。開戦直後の戦況を左右し、試合そのものの流れを生み出していました。

こうして4日間の激戦を潜り抜け、プレーオフ進出の7チームが決定(うち1チームは諸事情により棄権)。3月25日と26日の2日間に渡り、さらに熱い最終決戦が繰り広げられました。



第1試合のUSG Iridata vs Green Leavesは、これまでの予選の対戦とは異なり、開幕からUSG Iridata側のファラの爆撃を、Green Leavesのhoshimi選手がD.Vaのディフェンス・マトリックスで完璧に防いでいくファインプレイを披露。両者ダイブ構成で拮抗しましたが、USG IridataのAktm選手のゲンジの龍撃剣がうなり、そのまま押し切って1ポイント先取。この勢いが止まらず、以降次のラウンドも含め、ストレートでUSG Iridataが勝利。ファラと各フランカーの上下のゆさぶりに加え、Vader選手のD.Vaの守りと粘りも光りました。

この試合、早くも3月22日に実装されたばかりの新ヒーロー・オリーサをGreen Leaves側が投入。しかしAktm選手が拘束技に木の葉返しで冷静に対処するなど、活躍の場を抑えられていました。

配信された第1試合と同時進行されていた第2試合では、RPG-KINGDOMがSplendour.weiβを2-0で破り勝利。同じく同時進行の第3試合では、僕らのユリイカがDeToNator.BLACKを2-0で破り勝利。

続いてのウィナーズセミファイナル、RPG-KINGDOM vs 僕らのユリイカの対戦。ここでも僕らのユリイカのらりるれろ選手が、オリーサを投入。同時に投入したファラマーシーで爆撃を当てていき、開幕あっというまにアルティメットゲージを90%溜めるほどのアドバンテージを取った僕らのユリイカが、1ポイント先取。続くマップでも、ナノブーストを付与されたRPG-KINGDOMのろく6935選手のラインハルトをロードホックで引き離し続けるなど、僕らのユリイカがファインプレイを連発。1ラウンドをストレートで先取し、2ラウンドもストレートで取って勝利しました。

僕らのユリイカ側のゼニヤッタやウィドウメーカーといった、後方火力支援ヒーローを止めにいけるヒーローへの変更が遅れてしまったRPG-KINGDOM。僕らのユリイカは閻魔斬光龍神剣選手のゲンジのアルティメット1つで攻勢をしのぎ切るなど、アルティメットの管理も見事でした。

早めの決着となったため、同時進行されていたウィナーズセミファイナル第2試合の、むかいまさき♡ vs USG Iridataの模様も終盤のみ配信。ワイルドカードの時点で即席で組んだチームだというむかいまさき♡は、そうとは思えない圧倒的なチーム力で勝ち進んできましたが、ここにきて即席ゆえの連携不足からかアルティメットを吐き出し過ぎ、その差が終盤に響いてUSG Iridataに敗れました。

ここまでプレーオフの全試合が2ラウンドストレート先取で決まっており、セットプレイとアルティメットの管理をしっかり決めたチームが個人技での逆転を許さず一気に勝利する、ダイブ構成主流の現環境を物語る展開が続きました。

続いてのルーザーズトーナメントの試合は、同時進行でSplendour.weiβがDeToNator.BLACKに勝利。Splendour.weiβは強豪プロチームを倒した勢いを残したまま、次のむかいまさき♡との対戦へ。しかし試合ではむかいまさき♡側が、Skyfull選手のロードホッグやMaTtyo選手のトレーサーによる後衛荒らし、巧みなディレイキルなど、お手本のようなダイブの戦い方を展開。2ラウンドすべてストレートで勝利しました。

ゲンジのナノブースト付き龍撃剣を、こちらもとっさにナノブーストをマクリーにつけてフラッシュバンで止めた、常人離れした判断力。アルティメットを溜める速度も非常に早く、むかいまさき♡の各選手の個人技が終始光りました。

ルーザーズトーナメントは続いてRPG-KINGDOM vs Green Leavesの試合へ。1ラウンドはGreen Leavesが取ったものの、アルティメットのアース・シャターを要所で決め、1人でも猛プッシュを決めていくろく6935選手の止まらない活躍や、Dexo選手のD.Vaによる的確なディフェンス・マトリックスでの守りにより、続く2ラウンドと3ラウンドをRPG-KINGDOMが連取して勝利。

こうしてルーザーズセミファイナルは、上記の通りどちらも好調なRPG-KINGDOM vs むかいまさき♡の試合に。1ラウンドのNEPALマップでは、グラビトン・サージすら防いでみせたDexo選手のD.Vaの活躍をも上回る、Skyfull選手をはじめとする各アタッカーの暴れが刺さり、むかいまさき♡が先取。しかし2ラウンド目のDORADOマップでは、ろく6935選手のラインハルトを中心としたタンク構成が安定し、RPG-KINGDOMが取り返しました。決着の3ラウンド(KING'S ROW)では同じくかなりの練習の成果が見られるタンク構成に加え、ShoGuN選手がマクリーやトレーサーでキルをもぎ取っていき、RPG-KINGDOMが勝利しました。

最後の局面、Skyfull選手のウィンストンが生き延びて切り開いたチャンスからむかいまさき♡が逆転するかと思われましたが、前半に稼いでおいたリードがここで響き、RPG-KINGDOM側の復帰が間に合って勝利。最後まで分からない名試合でした。

こうして名試合の数々を経て、いよいよプレーオフ2日目の3月26日、大会最後の3試合を迎えることに。まずはウィナーズファイナル(BO5)、USG Iridata vs 僕らのユリイカ。

まず1ラウンド(ILIOS)は、USG Iridataがファラマーシーを出し、逆に僕らのユリイカはファラマーシーを出さないダイブ構成で出撃。ファーストポイントが屋内でファラが立ち回りにくいことを活用し、序盤は僕らのユリイカが見事に攻めていくものの、終盤にファラマーシーを守り切り、暴れさせることができたUSG Iridataが逆転して先制。これに対して攻守交替後、僕らのユリイカもファラマーシーを投入しましたが、USG Iridata側がファラマーシーへフォーカスを集中し速攻で倒していくことで生み出した有利が響き、接戦を制しました。

しかし2ラウンド(WATCHPOINT:GIBRALTAR)では、僕らのユリイカ側がAsdfff選手のウィドウメーカーと閻魔斬光龍神剣選手のゲンジを軸に、得意のハイ・ダイブを決めて非常に素早くペイロードを押していき、優勢に。さらにNanohana選手のゼニヤッタが不和のオーブを絡めた後方火力支援だけでなく、アルティメットの心頭滅却で守りと回復でも優位を生み出し、圧倒しました。

攻守ともに活躍した、Nanohana選手のゼニヤッタ。心頭滅却を生かし、ほぼ一人で味方の復帰までの時間を稼ぐ場面も。他選手含め、フランカーの動きが他チームと一線を画している印象でした。

続く3ラウンド(KING'S ROW)、USG Iridataは平地が多めのこのマップでオリーサを投入。高低差に弱い印象のオリーサですが、ここではラインハルトと正面を二重のバリアで守ってみせたものの、僕らのユリイカ側のナノブーストも活用したグラビトン・サージの高速回転により瓦解。攻守交代後はあとわずか守り切ればいいというリードを生かし、ファラを出しつつ、USG Iridata側が最初に出したヒーローの中では唯一カウンターとなるD.Vaを抑える見事な立ち回りで、一気に勝負を決めました。

さらに続く4ラウンド(ROUTE66)、僕らのユリイカは変わらず好調。ディフェンス・マトリックスで守られたゲンジの龍撃剣を、とっさにアナで眠らせ守りを剥いでからタクティカル・ナノバイザーで倒すなど、見事な連携を見せていきます。さらに終盤、マップがダイブ構成が刺さらない地形に差し掛かる前に、Nanohana選手がアルティメットが溜まったゼニヤッタをあえてアナにチェンジするという英断が効き、攻守交代後の乱戦もこのリードもあって制し、トータル3-1で勝利しました。

突然のゼニヤッタのアルティメット暴発。どうせアナへ交代するのだからと放出しただけだったのですが、ギャラリーも驚かされました。早めの交代でアルティメットも溜めることができ、結果大正解となりました。

僕らのユリイカがグランドファイナル進出を決めたのに続き、大会はルーザーズファイナル(BO5)、USG Iridata vs RPG-KINGDOMの試合へ。

1ラウンド(NEPAL)、ファラマーシーにゲンジ、ルシオ、ウィンストンを加えたミラー構成での対決は、RPG-KINGDOM側がファラマーシーをかなり落とされてしまい、リザレクトでの蘇生を活かせない展開に。しかし前半終盤、早めにマーシーが落とされたことで復帰が間に合う結果となり、RPG-KINGDOMが制しました。しかし攻守交替しての後半は、USG Iridataのファラとトレーサーに対応するヒーロー変更が一手遅れ、アルティメットの差が生まれてRPG-KINGDOMが敗れる形に。拮抗する試合でしたが、最後はRPG-KINGDOMのろく6935選手のラインハルトがアース・シャターとチャージを駆使し、不利な状況をひっくり返して勝利をもぎ取りました。

続く2ラウンド(WATCHPOINT:GIBRALTAR)は、USG IridataがAktm選手とVader選手の、高機動ヒーローを使う2人を中心として攻めを重視するのに対し、RPG-KINGDOM側はこのマップで重要な高台確保が苦手なマクリーを使うなど、あくまで守りを重視する構成に。高所確保では一歩劣ったものの、アルティメットを吐かせつつ狩り取っていく巧みな誘いと、堅実なラインハルトでの守りが功を奏し、RPG-KINGDOMが2ポイント連続での先取を達成し、勝利にリーチをかけました。

ろく6935選手のラインハルトによる的確な守りと、アース・シャターを重要な局面まで温存できる判断力がここで光りました。時間を稼ぎ、その間にShoGuN選手がゲンジの龍撃剣などを決めていくという、守りにゲンジを活用する戦術に繋げました。

しかし3ラウンド(HOLLYWOOD)、USG Iridataはファラとマクリーという面白い構成での攻めを展開。これまで鉄壁の守りを見せてきたRPG-KINGDOMのDexo選手のD.Vaといえども、上空と正面からの2方向の致命的な攻めには対応しきれず、序盤戦をUSG Iridataが圧倒しました。さらにUSG Iridataは守りに転じてからも、オリーサを出して高台をバリアで守るという面白い戦法を披露。その後も相手ヒーローを確実に一人ずつ倒していけるアタッカーを活用し、RPG-KINGDOMの堅い守りとペースを崩しつつ1ポイント取り返しました。

どうなるか分からなくなってきた4ラウンド(DORADO)、即座にDORADOを選んだだけあって、RPG-KINGDOMが得意とするマップのようで、中盤以降はDexo選手のロードホッグと、Yoz選手のザリアの活躍でRPG-KINGDOMが優勢を保っていきました。終盤になるとShoGuN選手が相手のエースAktm選手を重点的にマークし、最終局面ではUSG IridataのNovady選手が満を持して投入してきたシンメトラのテレポーターに、相手のアルティメットが切れたところで素早くファラ&トレーサー構成に変えてのラストアタックを決め、接戦を制しました。これで3-1勝利となり、グランドファイナルにRPG-KINGDOMが駒を進めることに。

最終局面のRPG-KINGDOMがテレポーターを壊すタイミングは、これ以上早くても遅くても、試合終了までにUSG Iridataにアルティメットなどを準備させる機会を与えてしまうという、絶妙なタイミングでした。

そしてついに迎えたグランドファイナル(BO7)、僕らのユリイカ vs RPG-KINGDOM。ウィナーズ進出の僕らのユリイカ側に1ポイントが入り、また1ラウンドのマップ選択権が与えられる形でのスタートとなりました。

1ラウンド(LIJIANG TOWER)は開けた庭園の上空で、両チームのファラマーシーが激突するところから開戦。さらに地上でもウィンストンを速攻で倒したり、アタッカーを誘導して落下させたりと、激戦が展開しました。龍撃剣など致命的なアルティメットも、即座に落下キルで止めたりと両者ともに対処がうまく、きわどいところでしたがまずは僕らのユリイカがポイント確保を達成。それを取り返したいRPG-KINGDOMはラインハルト構成で挑みますが、僕らのユリイカはNanohana選手のゼニヤッタがここでもその能力を発揮。ShoGuN選手がトレーサーをピックして対策に走ったものの、トレーサー一人ではゼニヤッタに届くことさえなく、タンク構成を貫いたRPG-KINGDOMが圧倒されてしまう結果となりました。

2ラウンド(HANAMURA)、両者ラインハルトを入れつつも、僕らのユリイカはファラマーシーを入れてルシオを入れなかった構成のためか、最初のポイントの争奪戦で不利に。しかし屋内のポイントを巡る戦いになると、僕らのユリイカのAsdfff選手がウィドウメーカーとファラを状況に合わせて使い分け、終始ダメージを稼ぎチームを優勢に導きました。しかしここでまさかのろく6935選手のアース・シャターとDexo選手の自爆の合わせ技が決まり、4キルを達成し、セカンドポイント占領を果たしたのはRPG-KINGDOM。その後も一瞬サウンドバリアが間に合わなかった、などといったきわどいシーソーゲームが続いたものの、龍撃剣とパルスボムでチームキルをたたき出すなど、僕らのユリイカの激しい攻勢が突き刺さり、ラウンド奪取を達成しました。

ここでもNanohana選手のアナ&ゼニヤッタと、Asdfff選手のウィドウメーカー&ファラがいい働きを披露。RPG-KINGDOMもHANAMURAでShoGuN選手がトールビョーンを投入するなどしましたが、僕らのユリイカ側の臨機応変なヒーローピックには一歩及ばず。

これで3-0と、優勝に王手をかけた僕らのユリイカ。続く3ラウンドは、RPG-KINGDOMがまたしても即座にDORADOを選択。セミファイナルでも分かる通り、RPG-KINGDOMの得意マップとなりました。

開幕直後、RPG-KINGDOMのマクリー、ソルジャー76、ロードホッグという編成に、即座にファラ&マーシーをゼニヤッタ&ウィドウメーカーに変更した僕らのユリイカ。これにRPG-KINGDOM側もYoz選手がマクリーをウィンストンやトレーサーに随時変更して対応できたものの、後手に回りがちでAsdfff選手のウィドウメーカーをフリー状態にしてしまうことになり、キルを取られ続けていきました。さらにダメ押しの龍撃剣も決まり、僕らのユリイカは残り2分58秒でペイロードを運び切る好調な出だし。

攻守交替となったところで、僕らのユリイカは守り側でありながら、らりるれろ選手がシンメトラを、Asdfff選手がファラ対策のためかマクリーを選択。しかしRPG-KINGDOMはYoz選手のファラをフリーにする立ち回りを見せ、ファーストポイントを難なく突破。これに対し、僕らのユリイカはゲンジとファラ&マーシーを投入し、ファラ対決で優位を取って押し返すことに成功しました。その後はNanohana選手のマーシーによる蘇生がいい粘りを生み、さらにサウンドバリアを使わせてから蘇生を使うなど、冷静な判断力も発揮。Asdfff選手のファラが横から放ったアルティメットをDexo選手のD.Vaがとっさに防ぐなどファインプレイも多かったのですが、蘇生に支えられた完璧な守りを崩すには至らず、ペイロードに触ることも許されません。そのまま守り切り、僕らのユリイカが見事な4ポイントストレート先取で「True Overwatch Elite #3」優勝の栄冠を手にしました。


タンク構成での強さならRPG-KINGDOMも負けてはいなかったのですが、ダイブ構成の臨機応変な切り替え、相手構成への対応力で、僕らのユリイカが一歩前を行った印象でした。

主催者に今大会の趣旨と、終了直後の感想と分析を聞く

今大会終了後、「True Overwatch Elite #3」主催者であり、実況も務めたabara氏にインタビューを実施。熱戦が続いた今大会について、いろいろと伺ってみました。


――ALIENWARE ZONEでは初めてご紹介させていただくということで、改めまして「True Overwatch Elite」開催に至った経緯や、その開催趣旨について教えていただけますでしょうか。

abara氏:『オーバーウォッチ』が発売されて間もない当時、まだ存在していなかったタイムバンク制の代わりに、海外ではストップウォッチという競技的なルールが主流になっていました。攻守を交互に行い、お互いが攻めきった場合にはオブジェクティブの達成タイムで勝敗を決めるというものです。このストップウォッチルールが日本にまだ浸透していなかったため、紹介する目的で「True Overwatch Elite Test Cup」を開催したのが事の始まりです。

このときは、『オーバーウォッチ』の競技シーンが盛り上がって欲しいみたいなつもりは特になく、「競技的なルールが普及した環境で試合がしたいから」という極めて個人的な動機が元になりました。手伝ってもらえるような知り合いもいなかったので運営・進行・実況・解説の全てを自分一人で行うという……今から考えるとかなりのチャレンジをしてましたが、おかげで大抵のことはなんとかなるという実感が得られて、今まで通算4回、大会を開催し続けられているという側面はありますね。現在の開催趣旨は、「海外の流行も取り入れつつ日本の競技シーンが盛り上がるような大会を開きたい」といった感じです。

――このクオリティーで個人での開催ということで、驚いている観戦者も多いようです。個人開催ならではの苦労や、逆に利点などもあれば教えていただけますか。

abara氏:「個人主催としては」クオリティーが高いというのがミソですね……(笑)。苦労するのはやはりクオリティーの維持ですね。特に「True Overwatch Elite #3」の配信は全て家から行いましたが、やっぱりスタジオなどでの収録には敵いません。特に実況・解説は、オンラインのボイスチャットでやるよりは実際に顔を付き合わせた方が間違いなくやりやすかったりもします。

そして一番気をつけたいのは、独りよがりになりかねないことです。前回の「True Overwatch Elite #2」(以下#2)では進行の都合的に難しいという理由で、優勝チームへのインタビューを行わなかったのですが、#3では特に理由もなく……正直に言ってしまえばインタビューがあまり好きではない……ので前回大会をそのまま踏襲してしまいました。今となっては絶対にやるべきだった、と反省しています。もし大会を開きたい人がいるのであれば、この点には気をつけてほしいです。自分も気をつけます。

メリットは、予算を度外視できることですね。3週間、計6日に渡る大会の開催はかなりの無茶だったなぁと今更ながら感じているのですが、自分が主催して大半の役割を担う限り、無制限にブラックな大会運営が可能です(笑)。個人主催故にコミュニティとの距離が近く、ある程度のグダりも目こぼししてもらってるからこそ成り立っているところもありますが。

もし企業主催で同じ内容でやろうと思うと、最低限のクオリティコントロールをしなくてはいけませんよね。自分が想像する限りでは、スタジオ・機材・プロデューサー・ディレクター・配信オペレーター・カメラ担当・大会進行・実況・解説は必要になってくるでしょうか。大変なことです。

――#3では試合形式が予選から複数日程でのBO3、プレーオフではBO5、BO7と、#2から大きく変更されていましたがこちらはどのような意図での変更だったのでしょうか。また、変更による手応えや、浮上した問題点などはありましたでしょうか。

abara氏:今までの「True Overwatch Elite」は全てワンデイ開催でしたが、平行して試合を行うと、配信される試合よりも配信されない試合の方が多くなってしまいます。配信のなかった試合にもまだ見ぬ熱闘・激戦があったと考えると、非常に勿体ないんですね。だから余すことなく見せたいと思いました。もちろん、自分が見たいからというのもあります。

試合形式にBO3以上を採用したのも同じような理由からです。ただ、納得感が得られる大会にしたかったという思いもあります。良い大会の定義は難しいですが、ダメじゃない大会の条件は色々考えられます。例えば進行がスムーズであるとか、ルールがまともであるとか……。ルールがまともというのは、勝利にも敗北にも納得感が伴う戦いができることだと自分は考えています。

『オーバーウォッチ』は現状、競技に使用されるマップの数が非常に多いです。フルタイムで活動している海外のトップチームですら、全マップの習熟には困難が伴うと言えます。ましてや日本のチームのほとんどは練習時間も限られてますから、マップごとの習熟度に差が出来るのは仕方がありません。もしトーナメントでBO1を採用すると、マップの得手不得手だけで試合が決まってしまう可能性が出てきますが、それで勝敗が決まっても納得するのは難しいでしょう。

試合を沢山見せる、納得感のある試合をしてもらうという点においては、ある程度成功したという感触はあります。ただ問題もあって、開催日数は実質6日でも、開催期間が3週間にも及んでしまいました。途中でパッチが当たってメタが変わってしまったので、トーナメントとして一貫性に欠くものになってしまったという感は否めません。また、スケジュールの都合が付かずに、参加出来ないチームが多数出てしまいました。日本の『オーバーウォッチ』シーンで本当に求められている大会とは、ちょっとずれてしまっていたかもしれません。

――観戦中、カメラワークの巧みさに大いに楽しませていただきました。カメラワークについて、特に注意していらっしゃる点などあれば伺いたいのですが。

abara氏:ありがとうございます。自分としては、何かが起こる場面は必ず映したいといと思っています。もちろん、全てを映すことはかなり難しく、特にファラが出ている時にはそれが顕著になりますが……。海外の大規模な大会とかだと、複数の観戦カメラを用意した上で、都度スイッチングしたりしていますね。

「True Overwatch Elite」では当然自分のカメラしかないので、凄いぶつかり合いが起こりそうなところを予測しつつ操作を行っています。そのために特に注意を払っているのがアルティメット・スキルのチャージ状況です。使いそう、あるいは使ったら、視点をそのヒーローにフォーカスすることで、アルティメット・スキルをどう使ったか、結果としてどうなったかを可能な限り見せられるように努力しています。強力なスキルが使われた以上、どんな形であろうと試合は動き、そこにドラマが生まれますから。

――上記と同じく、的確な実況につきましても、特に気を付けていらっしゃる点などありましたら教えていただけますか。

abara氏:実況の内容については、チームでプレイしていた経験に基づいて喋るだけ喋るという感じなので……。唯一ちゃんと意識してできているのは、選手の名前をちゃんと呼んであげるってことでしょうか。自分が試合に出てた時、実況の人に名前呼ばれるのが嬉しかったので(笑)。

気を付けられていないけど、気を付けなければいけないことは沢山ありますね。解説の領域にちょっと踏み込みすぎてるからしっかりと役割を意識するべきとか、ほかにも多くの意見をいただいていますので、実況としてはまだまだな部分が本当に多いです。


――では続いて、今回の大会の内容について伺わせていただきます。まずは#3の激闘が終了しました今、率直なご感想をいただけますでしょうか。

abara氏:ちゃんと終われて良かったと……(笑)。長期にわたって大会を開催するというところからして、初めての試みだらけでしたし、途中で破綻することなく終われたので安堵しています。

――予選から名勝負の連続となった今大会ですが、特に記憶に残っている試合がありましたら、その注目点とともに挙げていただけますか。

abara氏:熱かったという意味ではプレーオフの敗者側決勝、USG Iridata vs RPG-KINGDOMですね。結果としては3-1と、RPG-KINGDOMが流れに乗りきった形で勝利を収めましたが、どのマップの対戦も苛烈で見応えがありました。

そしてもう一つは、グランドファイナル、僕らのユリイカ vs RPG-KINGDOMですね。ラインハルトを主軸に据えた構成が多いRPG-KINGDOMに対して、僕らのユリイカはダイブ構成を重用するという対照的な戦いになりました。ダイブ構成に有利なパッチが当たったばかりで、RPG-KINGDOMはその煽りをモロに受けることとなりました。結果として僕らのユリイカが4-0で勝利と、柔軟性と対応力の高さで終始優位に立っていたものの、RPG-KINGDOMも最後まで食らいついて、相手に楽な試合はさせませんでした。パッチが当たっていなければ……、あるいは再戦するチャンスがあれば……と、色々考えさせられることの多い内容でした。

――今大会で、特に試合のキーマンとなっていたと思われたヒーローは誰でしたか?

abara氏:ファラとマーシーですね。特にプレーオフでは、アナのメイン射撃のダメージが20下がるという、なかなかインパクトのある弱体化が入ったために相対的に強みが増した感が強いです。

次点はD.Vaですね。ダメージと耐久力という、根幹に関わる性能に弱体が入って一時期姿が消えたものの、ディフェンス・マトリックスの仕様に凶悪な変更が入って今回の大会では完全復活を遂げていましたね。今までザリアのグラビトン・サージはディフェンス・マトリックスの範囲内でも地面や壁に密着して撃てば消えなかったのですが、コレが今の仕様では消えるようになってしまいました。今回の大会だけで、今までの「True Overwatch Elite」全体を通して消えた以上の数のグラビトン・サージが、D.Vaに消されたので印象に残っています。

――プレーオフの段階で、いくつかのチームが実装されたばかりのオリーサを投入していました。今大会では、このヒーローにどのような印象を持たれましたか?

abara氏:あまり強くないな、という感じは否めません。特に守りで使うのは難しそうです。スキルセット的にじんわり戦う性質が強いですが、守りでじんわり戦うというのは相手が許してくれませんから。ストップ!で高台の敵を落としたり、プロテクティブ・バリアを敵の中に投げ込んでアナの射線を切ったりと、相手の動きを制限するような運用はできるのかなと感じました。

なんにしても、そもそもダイブ構成だったり、タンク構成でも攻撃側のDPSにはマクリーが重用されたりと、相手を一人一人ピックしていこうという向きが強い現環境の中では、居場所を見つけるのは難しそうです。瞬間的に出せるダメージが少ないですから。あとは、トレーサーやゲンジといったフランカーから身を守る能力が著しく欠けているのも気になる点です。

――今大会で、特に記憶に残った選手とその活躍シーンがありましたら教えていただけますか。

abara氏:なんと言ってもUSG IridataのAktm選手がグループ予選の対Crest Gaming.Zero戦で見せてくれた、ゲンジで空中のファラとマーシーを連続でキルしたシーンですね。今大会で最もカッコイイプレイングでした。何度見ても震えるくらいです。クリップの再生数も滅茶苦茶伸びてますね。

https://clips.twitch.tv/DarlingCulturedHorseKappaRoss

そしてRPG-KINGDOMのDexo選手と、ろく6935選手が見せた、プレーオフグランドファイナルの対僕らのユリイカ戦で見せた完璧な自爆と、アース・シャターのコンビネーション。興奮しすぎてキルログを見誤り、実際に自爆で取ってたのは4キルだったのですが「5キル!!!」と叫んでしまったくらいです。

https://clips.twitch.tv/TangibleFragileWoodpeckerYee

――#3を終えた現在、今後の大会開催に向けて、より改善や挑戦を試みたい要素などは浮かんできていますでしょうか?

abara氏:大規模な大会をやりたいという欲求は満たされたので、次はウィークリー大会かなと考えています。以前にも一度考えて、結局開催を断念してしまったのですが、今こそリベンジですね。その延長として、今回みたいな大規模な大会を開ければ、と思います。

やはり太く長くやるよりは、細く長く続けた方が、日本のシーンには合っているなと感じました。今そう感じているだけで、実際は違うかもしれませんが、どうでしょう……コレについてはご意見募集中ですね。実現できる可能性を無視すれば、オフラインでの大会にも興味がありますね。

改善すべき点としては、全部ですね(笑)。特に、チームと選手にもっとちゃんとスポットライトを当てないといけないな、と思います。ただ大会を開いて試合の場を提供するだけであれば、自分が開く必要はありませんから。

――最後に、次回開催を楽しみにしているプレイヤー諸兄や観戦者の皆さんに、メッセージをお願いいたします。

abara氏:これ、大会終わる度に毎回言ってますが、もっと精進します! なので、次回以降も是非ともよろしくお願いします。

今大会の激闘の模様は、Twitchのabara氏の配信アーカイブから確認可能です。当記事からその内容が気になってきたという方は、大会公式ブログの配信ページへのリンクから、ぜひご覧になってみてください。

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■関連リンク
「True Overwatch Elite」公式ブログ
http://trueoverwatchelite.jp/
BLIZZARD ENTERTAINMENT
http://us.blizzard.com/en-us/
『オーバーウォッチ』のページ
http://www.jp.square-enix.com/overwatch/
abara氏のTwitter
https://twitter.com/abaranche