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【インタビュー】(後編)プロゲーミングチーム・DeToNator代表 江尻 勝が語る「プロゲーマーとして勝てる人物像」

2009年9月に設立され、日本有数のプロゲーミングチームとして世界的にも知られている「DeToNator」。

その代表を務める江尻 勝氏に、プロゲーマーとして勝てる人物になるためには何が必要なのか、プロゲーマーに求められているものは何であるかをインタビューで伺った。

■チーム運営についてや日本のe-sportsの将来についてを伺った前編の記事はこちら


――これからe-sportsの選手を目指す人に向けて、どんな事をすれば良いのか、どんな考え方をすれば「勝てる選手」になれるのか教えてください。

江尻氏:まずは「自分で考え、すぐ人に答えを求めるな」というスタンスが大切です。そして、プロゲーマーになる覚悟があるならちょっとしたことで不満を言う前に、プロゲーマーとして長く続けるにはどうしたら良いか、自分で考えていけることがプロのゲーマーの資質です。

プロチームに入りたいという人の多くは、入る時に「本当にプロゲーマーになりたいなら、文句を言わずにできる覚悟が本当にあるか?」と問うと、皆さんもちろん「はい」と答えます。しかし、ちょっと不都合なことがあると、すぐにモチベーション下がって「辞めたい」とか口にする人が居ます。自分がこの環境でやろうとしたのにも関わらず、長くやろうとする理由を考えないで、とにかく辞めるための理由は色々と考えてシミュレーションしてきます。このように、辞める理由に関しては凄く頭を回すのですが、続ける理由に関してはチームや私に任せてしまうんです。ですが、本来は「自分自身がなんのためにやっているか」ということを最初に見つけないといけません。それは「世界に行きたい」とか、「自分はこういう人間になりたい」とか、まずそういうのがないと難しいです。

どんな大変なことがあろうが、どんな辛いことがあろうが、それをぜったいやり抜く覚悟がないと「ちょっとゲーム上手いからやってみようかな」では、大体においてプロとして続かないケースが多いです。とはいえ、DeToNatorのメンバーが全員そこまでの覚悟があるかというと、さすがに違います。組織として人が集まれば色々なキャラクターの人がいますので。

もう1つ大切なのは、「聞く耳を持つ・人の話を聞く」ということです。色々なプロ選手を見てきましたが、人の話が聞けない人は成長しませんし、長続きしません。チームに入ると、最初の1カ 月は緊張感があるので自分を律して人の話をちゃんと聞きますが、緊張感が緩んでくると、ちょっとずつ自分の持っている潜在的な自我が出てきて「全体を見ずに自分しか見ていない」というパターンになることがあります。DeToNatorは、チームに在籍しているメンバーが16歳〜26歳、平均年齢は20歳前半と若い人ばかりで、まだ人生経験が浅いのは仕方ありません。なので、この部分は根気よく教えています。人の話を聞く素質がある人の方が伸びますね。逆に人の話を聞かない人は躓きやすいです。ただ、それに気付いてコミュニケーションを取り、乗り越えていく人も居ますよ。

自分の感情をちゃんと伝えることも大切です。日本人は特に海外などに出ると、萎縮して感情を上手く伝えられなくなる場合があります。しかし、自分の感情を伝える、特に「ありがとう」とちゃんと言えるかが重要です。ゲーム内では、もちろんプレイの上手さは大切ですが、人として礼節があり円滑なコミュニケーションを取れるかということも同じぐらい大切です。

そして、ゲームに限らず、どんなプロスポーツでも勝敗を分けるのは「メンタル」です。プロゲーマーには海外遠征もありますが、外国に行ったときの環境の変化に対応できず、神経質になってしまうと極端にプレイのパフォーマンスが落ちてしまいます。海外に行ってもご飯の好き嫌いが少ないとか、どんな環境でも自分のプレイができるなどのタフさが求められるので、私が選手の良し悪しを見る時には、メンタル面で強いかという点も注目しています。


――江尻さんのなかで、何かメンタル面を計るバロメーターのようなものはあるのでしょうか?

江尻氏:メンタルを計るという意味で、その選手のTwitterを見ます。Twitterで愚痴をつぶやく人はダメだと思います。Twitterでゲームの愚痴言うのは大体メンタルが弱い人です。自分のやったプレイに関し、それをツイートして愚痴を吐くことによって、「誰かがそれを見て拾ってくれる」ことを期待しています。だから、「気持ちを他人に任せて楽になりたい」「構って欲しい」「自分はできるんだってことをアピールしたい」こんな感情を持っている人は強いメンタルになれません。現在のトッププレイヤーたちは、失敗してもそれをいちいちツイートすることはしません。ゲームをやった後にTwitterで愚痴を書く・・・・・・そんな暇あったらもっとゲームのこと考えてますよ。

Twitterで暴言を吐いてしまうのも全部これに繋がっています。自分をコントロールできないからです。僕も現役プレイヤーの時に、腹の立つ事を言われましたが「言ったってどうしようもない」と自分を落ち着かせていました。Twitterで口論をしたところで、グチャグチャの水掛け論になるだけです。それを第三者が見たら、どれだけカッコ悪いか理解するべきです。ですので、選手達には絶対にこういう事はするなと日頃から言っています。

例えば、イチローが三振したとして、それをアレこれと文句を言っているのを見たらカッコ悪いと思いますよね。でも、イチローはどんなに納得いかない審判だったとしても、ぐっとこらえていくじゃないですか。それがプロだと思うんです。プロとして目指すなら、自分がどう見られているのかも気をつけるべきです。


――「DeToNator」に入りたい場合、メンバーとして何が必要でしょうか?

江尻氏:まずはゲームのプレイスキルです。プロになる以上、スキルはあって当然です。そして、自立して自分のするべきことと、チームで何をするべきかを常に考えている必要があります。「DeToNatorに入って強くなりたい」という他力本願ではなく、自発的にチーム内で学んで、それを実行できないと厳しいですね。特にウチのチームみたいに海外遠征があるチームでは、海外だからといって誰かに頼るようでは、頼られた人にストレスが掛かってしまいコンディションが崩れます。修学旅行ではないので、年下だから優遇されるとか、年上だから偉そうにできるとかはありません。ちゃんとした個々で、皆がきちんとしているからチームが保てる。その中の輪に入りたいなら、それに合うスキルを身につけている必要があります。それが、プロである理由かなと僕は思っています。

自立して学んで強くなるために、まずは上手い人の考え方をマネすることから始めるといいですね。プレイを見て「この人は、なんでこういう動きをしているのか」という理由をきちんと考えて、それをマネしてみる。上手い人はただ単にセンスや素質があるだけじゃなくて、それなりの理由があって動いているので、それを考えて研究する力をつけることが最も重要です。逆に考えられない人は強くなりません。さらに他の人の考えが分からないと、個人では強くてもチームでは強くなれません。ウチのチームでも常に考える力を身につけるための練習をしています。


――「DeToNator」としての今後の意気込みはどうでしょうか?

江尻氏:とにかく海外でどれだけ結果を残せるかがポイントです。従って、海外にいける選手をいかに多く輩出できるかが重要です。そして、意思ある人たちと一緒に、結果が出るまで諦めずにチャレンジしていきたいと思います。「DeToNator」といえば、日本だけでなく世界で闘っているチームだと、皆さまに認識して頂けるようにすることが自分にとっての今後の課題です。


■江尻 勝氏のプロフィール
2009年にDeToNatorを設立し、現在は「DeToNator」の運営会社である、株式会社「GamingD」の代表取締役として活動しながら、ネットショップのサイト経営や宅建取得なども行っている。
以前は美容師として働いており、33歳でPCゲームに出会う。35歳の時に『Alliance of Valiant Arms』の大会で日本一にもなっている。

■関連リンク
DeToNator
https://detonator-gg.com/column/
江尻 勝氏のTwitter
https://twitter.com/det_maxjam?lang=ja