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『GoNNER』〜2Dプラットフォームシューターでオーディオ体験が評価された理由【インディーゲームレビュー】

 
世界最高峰のインディーゲームアワード「IGF (Independent Game Award) 2017」のExcellence in Audioに『GoNNER』が選出されたとき、最初は違和感がぬぐえなかった。リズムゲームの類いではなく、初代『メトロイド』にも通じる2Dプラットフォームシューターだったからだ。しかし、実際にゲームを遊びこむ過程で次第にその意味がわかってきた。そして開発リーダーのDittoことMattias Dittrich氏へのメールインタビューをとおして、その仮説が確信に変わった。

クラブミュージックにも似た恍惚感

主人公はアメーバのような肢体で、頭部と武器とバックパックを選択できる。ゲームの目的はモンスターやロボットを倒しつつ、ダンジョンを探索して、巨大鮫のサリーに贈るプレゼントを入手することだ。ダンジョンや敵の配置はプロシージャルで行われ、ゲームの度に異なる形を見せる。これがインタラクティブ性の高いサウンド演出と相まって、本作ならではのグルーヴ感を演出している。また、ジャンプを駆使するゲームスタイルや、「射撃」と「踏みつけ」という二種類の攻撃スタイルもこの演出に大きく寄与している。

拳銃・ショットガン・レーザーなど、さまざまな武器を入手することで攻撃の幅が広がる

主人公はジャンプ、二段ジャンプ、壁ジャンプでダンジョン内を自由自在に移動でき、左右に射撃できる。もっとも、水平方向にしか射撃できず、弾数制限もある。これに対して「踏みつけ」は攻撃回数が無限で、複数のモンスターを踏みつけながら跳ね回ることもできる。しかし、いったんジャンプを駆使してモンスターの上方に移動する必要があり、落下速度も遅い。なお、どちらの攻撃でも主人公の上側に位置するモンスターを直接攻撃することはできない。

このほか、コンボを5回つなげるごとにルーン文字が刻まれたアイテムを入手でき、これを集めるとライフや弾倉の回復、さらにはコンティニューにも利用できる。そのため、プレイヤーは自動生成されるダンジョン内で攻撃方法を瞬時に見極め、スピーディに攻略していく必要に迫られる。コンボ数に応じてサウンドがテンポアップし、一定回数を超えると画面もサイケデリックな色調に一転する。これらが絶妙に絡み合い、クラブで音楽に身を委ねるような恍惚感におそわれるのだ。

ルーン石のアイテムを消費すれば、ゲーム途中で商人からアイテムを補充できる

プロトタイプからオーディオチームが開発に参加

もっともDitto氏いわく、「IGFでオーディオ部門賞を受賞するなんて、まったく信じられなかった。サウンドデザインとプロデュースのMartin Kvale氏と、作曲家のJoar Renolen氏のおかげだよ」という。ちなみに本作の中心メンバーはこの3名で、終盤になってグラフィック制作やデバッグなどで応援を得たものの、中核部分は非常に少人数で作られたという。またプロトタイプの段階からMartin氏やJoar氏が参加するなど、サウンド面のアイディアがどんどん採用されていった点も特徴だった。

「開発中にMartin氏がTeenage Engineeringのシンセサイザー、OP-1でオーディオデータを即興的に作り上げた。その速度感には驚いたよ。反対に自分がそのデータをゲーム内で実装して、相手を笑わせたり。こんな風に開発はとても愉快に進んだ」とDitto氏。Martin氏の旧友だったJoar氏が開発に加わったのは、そのすぐ後だった。Joar氏も自分の音楽がインタラクティブに使われることを望み、さまざまなアイディアを提供していったという。

IGFで受賞スピーチを行うMartin Kvale氏(左)とMattias Dittrich氏(右)。スウェーデンのインディーゲームデベロッパーだ

多くのゲームオーディオは開発終盤になって急ごしらえで実装されるのが実情だ。そのため、多くのゲームサウンドがその真価を生かし切れない状態に甘んじている。その一方で本作は珍しく、開発の初期段階からオーディオチームが加わり、一緒になって開発が進んだ。だからこそグラフィックとサウンドが高いレベルで一体化した、ユニークなゲーム体験が実現できたのだ。そして、それを的確にすくい上げたIGFもまた見事。さまざまな意味でインディーのレベルの高さが示されたと言える。

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■IGF授賞式の様子と受賞作品についてのリポート
【GDC2017】IGF、GDCA受賞作に見るナラティブ重視の傾向~IGFは『Quadrilateral Cowboy』、GDCAは『Overwatch』が大賞を受賞

■関連リンク
『GoNNER』
http://www.gonnergame.com/
Steam『GoNNER』のページ
http://store.steampowered.com/app/437570/

小野憲史のインディーゲームレビュー