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対戦格闘ゲームに見る90年代からeスポーツ時代までの流れ【石井ぜんじの「eスポーツのルーツを求めて」最終回】

目次
  1. 「ゲーメスト杯」におけるコストとメリット
  2. ゲーム大会のメジャー化に立ちはだかる法律的な問題
これまでの連載記事でお伝えしたように、1991年の夏、東京・池袋で第1回ゲーメスト杯、全日本ストIIチャンピオンシップが行われた。これは対戦格闘ゲームでは初の、全国規模のゲーム大会である。今思えば、日本のゲーム大会の歴史上、その意義は大きかったように思う。

その後、ゲーメスト杯は毎年のように行われ、盛況のうちに終わっている。これに触発されたように、アーケードのゲームメーカーも全国規模のゲーム大会をしばしば行うようになった。90年代に行われたゲーム大会は、対戦格闘ゲームを中心にかなりの数に上る。

しかしこれらのゲーム大会は、近年のeスポーツとは大きく異なっている点がある。それはマネタイズの考え方である。

日本にeスポーツが導入される以前に行われていたゲーム大会は、大会自体で利益を得ようという発想がほとんどなかった。その目的は基本的にファンサービスであり、プレイヤーやオペレーター(ゲームセンター)にお金を落としてもらうための、一種の販促である。

なぜ日本のゲーム大会は、eスポーツのようなそれ自体で利益を得る興行へと発展しなかったのだろうか。ここからは筆者の推測を交えて、近年までの流れを論じていきたいと思う。

「ゲーメスト杯」におけるコストとメリット

最初に、自分自身が深く関わっていたゲーメスト杯について考えてみよう。このような数百人規模の大会イベントを出版社が行うのは、それなりに大変である。

まず会場を借りるにはお金がかかる。イベント当日には人手が必要だが、外部の人間を使うならお金が必要だ。実際には編集やライターが多く借り出されたが、本来の出版業務に差し支えることは間違いなく、有形無形のコストがそこにはかかっている。

これらのコストに見合うメリットは、アーケード専門誌「ゲーメスト」の部数の増加である。大会を行うことによって、対戦格闘ゲームのコミュニティを強化する。そして雑誌の売り上げが伸びれば、その損失を十分まかなうことができる。

ゲーム大会をメーカーが主催する場合も、基本的に考え方は同じである。メーカーが自社のゲーム大会を開催すれば、ゲームセンターでゲームが盛り上がり、筐体や基板が売れて相応の利益が見込めるわけだ。

とはいえ、ゲーメスト杯においても、収入を上げることが無視されていたわけではない。例えば会場では、さまざまなゲームグッズを売っていた。また前回取り上げた、ゲーム大会のビデオ映像商品も、大会関連の売り上げとして考えていいだろう。

だがこれらはどちらかというと、コストがかかるゲーム大会の損失を、できるだけ埋めようという発想であった。それはeスポーツを立ち上げ、その大会運営を事業化しようとする考え方とは、かなり違う方向性だったように思われる。

ゲーム大会のメジャー化に立ちはだかる法律的な問題

ではなぜ当時は、ゲーム大会による利益が追求されることがなかったのだろうか。そのひとつの理由に、日本では法律上の問題で、ゲームセンターで開催される大会には賞金が出せないという問題があった。

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