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『LoL』MSI 2019グループステージ直前! 世界のSpring Splitを振り返る【中国編】

目次
  1. 飛翔する不死鳥
  2. プレイスタイル別のチーム傾向
    1. (1)ソロレーン軸
    2. (2)ボットレーン軸
    3. (3)ジャングル軸
  3. 波乱含みのプレーオフ
  4. 世界王者が見せた貫禄
  5. 2018年王者、Invictus Gamingの恐ろしさ
世界各地で行われている『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』のプロリーグは、約3カ月にわたる春季シーズンを終えた。昨年度、国際大会のタイトルを総なめにした中国地域の1部リーグ「League of Legends Pro League(LPL)」は、昨年の東西2リーグ制から統一1リーグ制へと変更され、競技地域最大の16チームによる熾烈な戦いが繰り広げられた。

出典:LPL公式Twitter

開幕前に注目を集めていたチームは、昨年の「World Championship」を制したInvictus Gamingを筆頭に、オフシーズンの大会で結果を残したTopsports Gaming、他地域からスター選手を呼び寄せたBilibili Gaming・LGD Gaming・Suningといったところだ。

まずは、Bo3(2本選手)のシングルラウンドロビン形式(全チームによる総当たり戦を1回)にて行われたレギュラーシーズン、120マッチ・292ゲームの結果から振り返ることにしよう。

飛翔する不死鳥

■レギュラーシーズン結果
1位 FunPlus Phoenix(13勝2敗)
2位 Invictus Gaming(11勝4敗)
3位 Topsports Gaming(11勝4敗)
4位 Royal Never Give Up(10勝5敗)
5位 Team WE(10勝5敗)
6位 SinoDragon Gaming(9勝6敗)
7位 EDward Gaming(9勝6敗)
8位 JD Gaming(9勝6敗)
9位 Bilibili Gaming(8勝7敗)
10位 Suning(6勝9敗)
11位 LGD Gaming(5勝10敗)
12位 Snake Esports(5勝10敗)
13位 Victory Five(4勝11敗)
14位 Oh My God(4勝11敗)
15位 Rogue Warriors(4勝11敗)
16位 Vici Gaming(2勝13敗)

レギュラーシーズンの首位を手にしたのは、今年がチーム結成2年目のシーズンとなるFunPlus Phoenix(FPX)だ。昨年末に補強したジャングル・Tian選手とミッド・Doinb選手が既存のメンバーと見事に噛み合い、開幕から2位以上をキープし続けての逃げ切りとなった。

FPXの勝因は、ジャングルとミッドが共に動いて、サイドレーンでタワーダイブを遂行するという序盤の流れが明確だったことだろう。そこで得た有利を元手に、ショットコーラーのDoinb選手を起点としたローテーションで堅実に差を広げる。不確定な要素はなるべく排しつつ、戦うべきところは戦うという緩急の切り替えが素早いチームだった。一見シンプルなプランだが、これもTian選手のフィジカルとDoinb選手のレーニング技術があってこそなせる業だ。

Doinb選手といえば、チャンピオン・ビルド選択の独創性がたびたび話題となる。今季も「ライチャスグローリーを積み、耐久とエンゲージ手段を兼ね備えたライズ・カサディン」、「イレリアをカウンターするために、アイスボーンガントレットを採用したコーキ」、「カルマで初手ジークコンバージェンス」、「サイラスのカウンターとしてリヴェン」など、様々な「Doinb式」を披露してくれた。

▲2017年春季以来となるレギュラーシーズンMVPを獲得し、笑顔でトロフィーを掲げるFPX Doinb選手。LPL16人目となる1000キルも達成した(出典:FPX公式Twitter)

プレイスタイル別のチーム傾向

ここからは、全16チームを今季のプレイスタイルごとに、(1)ソロレーン軸、(2)ボットレーン軸、(3)ジャングル軸の3種類に大別し、各グループについて解説する。厳密には、これらの中間に位置するようなチームもあるわけだが、ここではいずれかのグループに振り分けて説明する。

(1)ソロレーン軸

1位 FunPlus Phoenix(FPX)
2位 Invictus Gaming(iG)
3位 Topsports Gaming(TOP)
8位 JD Gaming(JDG)
9位 Bilibili Gaming(BLG)
14位 Oh My God(OMG)

高いフィジカルを備えたトップレーナーとミッドレーナーが主体となって、チームを牽引するグループ。特にシーズンの中盤以降は、ジェイス・ブラッドミア・ケネン・ライズ・ルブラン・ゾーイ・コーキといったキャリー系チャンピオンの採用が増加した影響もあり、ソロレーナーの実力差が試合結果に色濃く反映されることとなった。

前述したFPX、TheShy選手とRookie選手の二枚看板を擁するiG、昨年最も長く韓国サーバー1位を保持したKnight9選手を抱えるTOPは、メタへの適応も素早く、1位から3位を独占する運びとなった。また、プレーオフで2位まで上り詰めたJDGに加えて、Week10でiGに勝利し、TOPをネクサス破壊寸前まで追い詰めたBLGには、次のシーズンでも期待が持てそうだ。

▲今季「Man of the Match」を最多の12回獲得したTOP Knight9選手(出典:LPL公式Twitter)

(2)ボットレーン軸

5位 Team WE(WE)
7位 EDward Gaming(EDG)
10位 Suning(SN)
11位 LGD Gaming(LGD)
13位 Victory Five(V5)
15位 Rogue Warriors(RW)
16位 Vici Gaming(VG)

ボットレーナーへの依存度が比較的高いグループ。ただし、EDGとSNを境界として、決定的な差が存在する。

そもそも今季のLPLは、ボットレーンが(サポートも含めて)高水準で拮抗しているリーグとなっていた。最下位のVGですら、ボットレーンに限っては上位チームにも引けを取らないパフォーマンスを示している。しかし、SN以下の5チームの場合、勝利のためにはどうしてもボットレーンに頼らざるを得ないという状況に置かれていたため、リスクのあるピック・プレイを強いられていた。

一方で、プレーオフに進出したWEとEDGは、プレッシャーの分散や相手の構成に応じた適切なピックといった、ボットレーナーがキャリーしやすい環境作りが巧みであった。

▲「LPL All-Pro Team」のボットレーナー部門において、2位に倍近くのポイント差をつけて1位に輝いたWE Mystic選手(出典:WE公式Weibo)

(3)ジャングル軸

4位 Royal Never Give Up(RNG)
6位 SinoDragon Gaming(SDG)
12位 Snake Esports(SS)

ジャングルというポジションは、序盤のゲームメイクにおいて大きな役割を担っている。この3チームは、ジャングラーの活躍が際立っており、とりわけRNG Karsa選手とSDG Xiaopeng選手は、チームを上位に導いた主役といっても過言ではない。

RNGといえば、昨年の「Mid-Season Invitational(MSI)」における、プロテクトADCを貫き通しての優勝が印象的だが、今年はそれ以上にKarsa選手のゲームメイクがひときわ優れていた。また、昨年の2部リーグで優勝したSDGも、昇格直後のシーズンで6位と健闘した。Xiaopeng選手は、積極的なプレイスタイルと集団戦のパフォーマンスに定評があり、今年度の新人賞候補の一人となっている。

▲獅子奮迅の活躍でチームを支えたRNG Karsa選手。同ポジションのMlxg選手が休養中だったこともあってか、重圧からの解放に涙を流すシーンもあった(出典:RNG公式Weibo)

波乱含みのプレーオフ

レギュラーシーズンの上位8チームが進出したプレーオフは、Bo5(3本先取)のシングルエリミネーション方式で行われた。

▲1位・4位・5位・8位が左側のブラケット、それ以外が右側のブラケットに配されており、1位から4位までのチームには順位に応じたシード権が付与されている(出典:LPL公式Twitter)

右側のブラケットでは、それぞれ上段に位置するチームが勝利するという順当な結果になり、Invictus Gamingが決勝進出を決めた。しかし、左側のブラケットでは波乱の展開が待ち受けていた。なんとシーズン8位のJD Gamingが、WE・RNG・FPXを破り、決勝戦までコマを進めたのだ。

JDGは、トップ・Zoom選手とミッド・Yagao選手を中心とした典型的なソロレーン軸のチームである。また、エンゲージとロームが得意なサポート・LvMao選手が先陣を切り、ビハインドを背負った状況からでも巻き返す力を持っている。そして、彼らを率いているのが、2017年の世界大会でWEをベスト4に導いた智将・Hommeヘッドコーチだ。採用率は低いものの選手が得意としている「シグネチャーピック」を、ここぞというタイミングで起用する大胆なドラフトは、しばしばゲームの流れを大きく変える。

プレーオフという一発勝負の舞台では、どうしても守りに入ってしまいたくなるところだが、JDGは積極的な攻めに徹していた。準々決勝のRNG戦と準決勝のFPX戦では、どちらもGame3を終えて1-2と追い詰められてしまうが、Zoom選手のスウェイン、LvMao選手のバードがそれぞれGame4で活躍し、フルセットの末に勝利をもぎ取った。

▲JDGが準決勝でFPXに勝利した直後の様子。体調不良で思うようなプレーができなかったと号泣するFlawless選手と、それを宥めるZoom選手(出典:JDG公式Twitter)

世界王者が見せた貫禄

4月21日に「佛山国际体育文化演艺中心(佛山国際スポーツ文化センター)」で行われた決勝戦は、シーズン8位からの大逆転を狙うJD Gamingと、LPL7年目にして初のタイトルを狙うInvictus Gamingによる一戦となった。

出典:LPL公式Twitter

▲試合前に執り行われたオープニングセレモニーの様子(出典:LPL公式Twitter)

ここでも、JDGが強気の姿勢を崩すことはなかった。まず間違いなくBANするであろうと思われていたライズをわざとiGに渡すことで、構成の幅を少しでも制限しようというドラフトで勝負を挑んだ。ところが、iGはそんな策略を意にも介さず、圧倒的な力量差を見せつける横綱相撲で、Game1・2を連取する。

続くGame3、後がなくなったJDGは、息つく暇もないほど戦闘を仕掛け続けることでiGのペースを乱し、一時は7000ゴールド近い有利を手にする。このシリーズで初めてリードを許したiGだったが、TheShy選手のブラッドミアが完璧なエンゲージを2連続で決め、逆転の糸口を掴む。

最後はバロンバフを獲得したiGがネクサスを破壊し、3-0ストレートで優勝を決めた。

▲トロフィーを掲げるInvictus Gamingの面々。優勝が決まったあとも、安堵の表情を浮かべるにとどまった(出典:iG公式Weibo)

▲プレーオフMVPを獲得したiG TheShy選手。トップレーンの絶対的覇者として、存在感を放ち続けた(出典:iG公式Weibo)

■プレーオフ結果
1位 Invictus Gaming
2位 JD Gaming
3位 FunPlus Phoenix
4位 Topsports Gaming
5-6位 Royal Never Give Up / SinoDragon Gaming
7-8位 Team WE / EDward Gaming

2018年王者、Invictus Gamingの恐ろしさ

結果としては、昨年の世界王者が本領を発揮し、予定調和的な展開に落ち着いたと思われる方も多いだろう。しかし、「LPL 2019 Spring」の全323試合を見守ってきた身として、iGというチームの本当の恐ろしさはお伝えしなければならない。

そこでまずは、レギュラーシーズンとプレーオフにおける、iGの特徴的なスタッツをご覧いただこう。

●Invictus Gamingの「LPL 2019 Spring Split」スタッツ
レギュラーシーズン中のiGは、ひたすら戦闘を起こす超攻撃的スタイルで、大味な試合が多かった。他チームの平均を550近くも上回るDPM「2329」という破格の数値が、それを如実に表している。

一方で、WPMは堂々の最下位となっており、その最たる例がジャングル・Ning選手の「0.38」。ジャングラーとしては致命的に低い。ちなみに、韓国のプロリーグ「LCK 2019 Spring」において、この「0.38」という数値を下回っている選手は、ボットレーナーのわずか3名だった。

最初のうちは、ヘッドコーチが不在の影響などもあり、チームとして本調子ではないのだと考えていた。週を追うごとに「このチームはわざと少ない情報量で戦っているのではないか、フィジカルの限界を超えようとしているのではないか」という疑念は強まったが、それでも憶測の域を出なかった。

しかし、プレーオフでTOP・JDGを蹂躙するiGを見て、疑いは確信へと変わる。彼らは最初から、レギュラーシーズンを丸々「自分たちの限界に挑戦する場」として利用するつもりで、視線は常に世界の舞台を見据えていたのではないだろうか。その答えはきっと、彼ら自身が「MSI」でのプレーで示してくれるはずだ。

※ ※ ※

春夏間の国際大会「MSI」は5月1日より開幕しているが、Invictus Gamingは5月10日に始まるメインイベントからの出場となる。さらに一回り大きくなったiGが、SKTやG2を相手にどのような戦いを見せてくれるのか、ぜひとも楽しみにしていただきたい。

■関連リンク
リーグ・オブ・レジェンド
http://jp.leagueoflegends.com/ja/
LPL 公式サイト(中国語)
https://lpl.qq.com
LPL 公式配信チャンネル(英語)
https://www.twitch.tv/lpl
https://www.youtube.com/user/LoLChampSeries
LPL 公式Twitter(英語)
https://twitter.com/lplenglish
LoL Esports VODs and Highlights
https://www.youtube.com/channel/UCzAypSoOFKCZUts3ULtVT_g

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