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「Final Round 2019」のゲンバ【ストーム久保の「プロ格闘ゲーマーのゲンバから」第6回】

ALIENWARE ZONEをご覧の皆さま、どうも。TEAM iXA所属 ストーム久保です。

6回目の更新となりました当コラムは、今回から『ストリートファイターⅤ アーケードエディション』(以下『ストV AE』)の競技シーンの最前線である「Capcom Pro Tour 2019」に私、ストーム久保が実際に参加して経験したことをまとめたものを連載させて頂きます。

コラムのメインタイトルになっている「プロ格闘ゲーマーのゲンバから!」に相応しい記事を執筆できるように頑張ってみます!

それでは早速大会のお話を……と、その前に! 私のコラム以外にも『ストV AE』関係の記事ならば頻繁に出てくるであろう「Capcom Pro Tour」について、知っておいて損は無いと思いますので、簡単な説明をさせて頂きます。

流し読みでも構いませんので頭の片隅にでも置いておいてもらえると、今後の当コラムや『ストV AE』関係の記事を読む際に役に立つかと思いますので良ければどうぞ。

「Capcom Pro Tour」とは⁈

「Capcom Pro Tour」(以下、CPT)は『ストV AE』を使用して毎年3月から11月末の期間に世界各地で開催されるポイント制大会の総称です。CPTは順位に応じてプレイヤーにポイントが与えられます。

参加プレイヤーはこのポイントを競い合い、ポイントの合計数上位26名と特別枠6名の合計32名が、12月に開催される本戦「CAPCOM CUP」に出場する権利を得られます。

「CAPCOM CUP」は一年の総決算で、その年のチャンピオンを決める大会となります。優勝すると高額賞金や「世界チャンピオン」の称号と名誉を得られるので、まずは本戦出場を目標としつつ、最終的には優勝を目指して、私たちプロプレイヤーは世界中を飛び回ってさまざまなCPT大会に出場し、ポイントを集めようとしています。

さらに詳しく知りたい方は、コチラのリンクから公式サイトにどうぞ。日本語にも対応しています。

※編集部注:ALIENWARE ZONEの記事で2018年のCPTを追いかけた記事がありますので、気になる方は以下の記事をチェック!
・『ストリートファイターV』の大会配信をより楽しむための動画勢デビュー講座「カプコンプロツアーの仕組み」

とりあえず最低限の部分の説明はこれくらいで、もっと詳しい部分は機会があれば説明します。なぜなら、今は私の話を聞いて欲しいからね!

それでは早速、2019年一発目のCPT「Final Round 2019」のお話をどうぞ。

“世界で一番目立つヤツ”は誰か

2019年3月15日から17日にかけてアメリカ・アトランタで開催された、「Final Round 2019」(以下、FR)に参加してきました。

▲会場となったホテル。海外大会はホテルのイベントスペースを借りて開催されることが多いです

ストリートファイターV』シリーズは毎年12月に行われる「CAPCOM CUP」が終わった後、新キャラクターの発表&追加や各キャラクターのバランス調整、システムの変更などが行われた新Verが配信・実装されます。プレイヤーは「CAPCOM CUP」で燃え尽きることなく、次の年の1~2月は新たなCPTに向けて練習を始めて腕を磨き続けていきます。

FRは一昨年も昨年もCPTの初戦に選ばれていて、世界で一番最初にその年の実力をアピールできる場となっています。ゆえに参加者の平均レベルが非常に高く、それだけにFRで優勝することは並大抵の実力ではできません。

しかし優勝することができれば、その年のスタートダッシュは100点満点、話題の中心となるプレイヤーとなるでしょう。そのことをよく理解したうえで結果を出すべきだったのですが、私は早い段階で敗退しました。それはそれは、じつにあっさりと負けました。

不安と葛藤~マイナス

4年目となった今年のシーズンは、私がずっと使用していたキャラクター「アビゲイル」の性能が念入りに弱体化。2018年では各地で大暴れしたからなのでしょうか。

しかし、アビゲイルに負けず劣らずの高性能だった他のトップキャラクターは、ほとんど弱体化しない調整でした。そんな状況で新シーズンがスタートしたことに、内心萎えている時期も……。

この業界で一番調整の煽りを受けたと思ってゲンナリしているところに、所属していたチーム「AtlasBear」の解散と、続けて落ち込む出来事が重なってしまい、結構堪えました。

そこからしばらくは、アルバイトとチーム探しをメインに生活します。幸運なことに、現在のチーム「TEAM iXA」へ所属が決まったのですが、すでにFRの開催日が一週間後という状況で、まともに練習できていないことに焦りを感じたりもしていました。

遅れを取り戻せるように練習はしたのですが、今のアビゲイルに手応えを感じることができずに出発日を迎え、そのままアメリカへと飛び立ちます。

飛行機内もホテルに到着しても何をしていても練習不足、自信のなさから不安は拭うことができないまま時間が経って、いよいよ自分の試合が始まりました。

▲アビゲイル使いから元気を集める久保。時差の影響でcoolkidからしかもらえなかった

1回戦、影ナル者との対戦はどうにか勝てました。あまり記憶がありません。緊張しすぎ……。

2回戦はバーディー使い。バーディー戦は日本にいるときに対策をしていて少し自信がありましたが、いざ対戦してみると全く自分のペースで動くことができないまま、あっさりと負けてしまいました。原因は、本気の大会の緊張感を忘れてしまっていたからだと思います。

周りに応援してくれる人はいない、いるのは相手のプレイヤーの味方だけ。一発攻撃を食らうたびに周りから歓喜の声が聞こえて、イラつきと恐怖を感じながらも何とか取り返そうと前に進むも、また攻撃を食らう。また歓声が聞こえる。この繰り返し。

気が付けば自分のプレイなどできず、ストレート負けてしまって思わず唇を強く噛んでしまいました。

ルーザーズに落ちた後は、香港のベガ使いHotDog選手とあたり、敗北。1つのプールに名前をよく聞く猛者がゴロゴロいる今大会は、自分の実力の低さを自覚させられる結果となりました。

昨年も緊張のあまりいいプレイができずに負ける試合が多かったのですが、今年は新しいチーム、練習不足、弱体化の不満、いろいろなことがマイナスに働いてしまったようです。性根のネガティブな部分が強く出てしまったのだと反省……。

どれも自分次第で解消できることなので、当面の課題は「マイナス要素をプラスに変換させる」ことです。応援してくださった皆さん、申し訳ありませんでした。

敗退してからはゲンバからYouTubeで配信しつつ、今年のプレイヤー、キャラクターがどう変わったか観察することにしました。せっかくなのでこちらも自分の意見を伝えたいと思います。

 

新シーズンで変わったこと、新しい希望

日本ではアビゲイルがキャラクターのランクが下がった代わりに、バーディーが台頭し始めました。

2018年のバーディーは強いキャラクターだったものの、トップキャラクターに対して相性が悪かったためにあまり目立つことはありませんでした。しかし2019年、シーズン4になると天敵のキャラクターの弱体化とVT2【バーディータイム】のあ強化が入ったことで盛り返し、一気に評価が上がったキャラクターです。

アビゲイルやザンギエフ、ララ、ミカなどのコマンド投げを持っているキャラクターを使用していたプレイヤーは、バーディーに変更するのかもしれません。日本人プレイヤーの多くはそう感じ、バーディー対策を万全にしてFRに臨みました。

しかし、実際に増えたキャラはバーディーではありませんでした。多くのプレイヤーは、今シーズンで一番チャンス力に満ち溢れている「G」を、メインもしくはサブキャラクターにしていることがわかりました。

NuckleDu選手やLPN選手もGに可能性を見出し、実戦投入していたことには正直驚きでした。

日本のプレイヤーにおけるGの評価は、火力はあるけど立ち回りの弱さと防御面の脆さが大きく響いて、「Vトリガーを使ったチャンス力は高いけど安定しないよね? 同じ投げキャラならバーディーやザンギエフで良くない?」といった感じで、中堅キャラクターのポジションでした。

これは日本と海外の視点やプレイスタイルの違いなのでしょう。日本のプレイヤーは安定して勝つことを重要視していたので、Gの対策はあまりしていませんでした。

しかし、海外のプレイヤーはおそらく「Vトリガーで逆転できるチャンスがあるならこいつはイケる!」と考えたようです。そのために立ち回りを工夫して、必死に攻めをしのいで自分のチャンスを作り、相手を崩していきました。

数々の活躍を見せた801 Strider選手とSmug選手は、多くのプレイヤーが決めつけていたGの評価を変えました。FRはまさに新シーズンの始まりに相応しい大会だったと言えます!

仰々しく書いきましたが、優勝したキャラクターはGではありません。それどころかTOP8にも入っていませんでしたが、大会後はみんなGのポテンシャルを探ろうと考えたはずです。

とくに私は「新しいアビゲイル」をGに感じたので、部屋に戻って早速練習を始めましたが……あ、この話の続きは次回にしましょう。

とにかく、FRを通して世界のプレイヤーは新しい視野を得たはず。素晴らしい大会だでした。

今年もPunk……!

FRは「変えた」大会でしたが、「変わらなかった」大会でもありました。

FRで優勝したのはPunk選手です。

2017年で目まぐるしい活躍をしたPunk選手は、2018年になるとかりんの天敵であるアビゲイルが大会で蔓延っていたために長い間苦戦を強いられていました。一時期は春麗やサガット、リュウなど多くのキャラクターを使用していたようですが、やはりそれは難しく、あまり結果を出せていなかったと思います。

それがある時を境に勝ち続けるようになりました。

吹っ切れたのでしょうか、使用キャラクターをかりんに絞ってから動きのキレが大会ごとに増していき、あまりの強さに私は画面越しで驚くばかり。

そして2019年になっても、Punk選手は変わらずに私を驚かせてくれました。

「これは!!!! 勝てないわ!!!!!!!!!」

部屋で叫び散らしました。完成度の高すぎる迷いがない動きに、実力差を感じるしかなかったのです。

今年は1回でもPunkに勝つことができるのだろうか……と新しい不安が生まれましたが、この不安はFRに来た当初に持っていた気持ちが悪い不安ではなくて、前向きな不安です。

目標と言ってもいいでしょう。

頑張る……という言葉は安っぽい気もしますが、今年も頑張って勝ちます。

以上、FRのゲンバからでした。


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