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マンツーマン指導でゲームが上達! コーチとプレイヤーをつなぐ国内初サービス「GamerCoach」が描く将来のビジョン

仕事や私生活を送るうえで、悩みや苦しみといった壁にぶつかることは多々ある。そうした境遇に直面した場合、友人や先輩からのアドバイスをもらうことで安心感を覚え、物事を前向きに考えたり、精神的に立ち直った経験を持つ人も多いはずだ。

ゲームの場合、「楽しい」という感情が湧いたあとには「もっとうまくなりたい、強くなりたい」という向上心が芽生える。自分を客観視し、プレイスタイルの見直しや、いつもとは違う選択をするといった試行錯誤をいくつも繰り返す。だが、自分ひとりの力ではどうにもならず、行き詰まりを感じてしまい、ある種のスランプに陥ってしまうことも少なくはない。

こうした、自分の腕前に悩めるプレイヤーに救いの手を差し伸べるサービスが今年の7月から開始した。今回ご紹介する「GamerCoach」は、eSportsシーンで盛り上がっているMOBA、FPS、オンラインTCGといったジャンルのプレイヤーを対象に、腕前に伸び悩む「受講者」と、実力のある「コーチ」を自サイト上でマッチングさせることを目的としている。


受講希望者は、サイトに登録されているコーチリストの中から、ゲーム中のランクや大会出場経験などのプロフィールと、コーチングチケットの料金(※1時間あたり最低800円。上限は1万円まで)といった判断材料を基に、「この人に教わってみたい」と思ったコーチにオーダーをかけられる。

アメリカでは自分の子供に『フォートナイト』の個人コーチをつけた親がいるというニュースが報じられたが、日本初となる「ゲームのコーチングサービス」を始めようと思ったきっかけや狙い、今後の運用目標について、「GamerCoach」代表の安部健介氏にお話を伺った。

▲小学校5、6年生のときに父親のPCで『スペシャルフォース』を遊び、以後はFPSやMMORPGを遊んできたという安部氏。大学生3年生のとき、StylishNoob氏(DeToNator所属)の動画を見たことをきっかけに『オーバーウォッチ』を始め、現在は『フォートナイト』を主にプレイしているという。

自身の経験から感じた「コーチングサービスの必要性」


――まずはじめに、「GamerCoach」を設立したきっかけと準備期間についてお教えください。

安部:『オーバーウォッチ』を趣味の範囲でやっていたんですが、当時のレートはダイヤモンドで、半年間ぐらいは実力があまり伸びませんでした。そんなとき、自分が運営していた攻略サイトに「コーチングはいつでも受け付けるよ」と連絡をくださった方がいて、コーチをお願いしたんです。

まず、YouTubeに自分のプレイ動画をアップし、それをフィードバックした攻略・解説用に編集した2分の動画を3本ほど送ってもらったんですが、そのおかげで10日後にはレートをマスターまで到達させることができたんです。

この経験から、ゲームのコーチングは必要だと感じましたし、需要もあると思い、ウェブサイトを作れる大学の同期に連絡をし、去年の11月にサービス開発を開始しました。発表は今年の春に行ったのですが、IPホルダーの許諾についての問題が解決していなかったり、決済のシステムや法人としての枠組みがまだ定まっていなかったので、実際に稼働を始めたのは7月からになります。

――日本では他に類を見ない「ゲームのコーチングサービス」ですが、ビジネスとしての勝算は見えていたのでしょうか?

安部:我々が準備を進めている最中に、アメリカには同様のサービスが4つぐらいあることや、中国や韓国でも同じようなサービスがあることを知ったのですが、立ち上げを決めた時点で海外の先行事例を調べたところ、アメリカの「GamerSensei」というサービスが2016年の時点で7億円の投資をもらっていると知り、これは日本でやっても絶対にいけるなと思いましたね。

――「GamerCoach」の方針として、教え方についてはコーチにお任せしている形ということですが、基本的なやりとりはどのように行うのでしょうか?

安部:「Discord」や「Skype」の画面共有機能でプレイを直接見てもらうというケースもありますし、かつての自分のように、YouTubeへアップロードした動画をコーチに見てもらい、それを編集して送るというケースもあります。

現時点でチケットが一番売れているコーチの方は、2時間を基本にコーチングを行っているんですが、受講者から送られてきた試合の動画を4時間ほど研究し、そのフィードバックを2時間で返していらっしゃるようですね。

――サービスの開始から1カ月が経過したとのことで、コーチによっては月10万弱ペースのチケットの売り上げがあることや、1時間あたり2000円分のチケットが売れているというデータが取れたようですね。手応えや反応については、当初の予定に比べるといかがでしょうか?

安部:だいたいこれぐらいだろうなという見込みどおりですね。最初は1時間あたりの最低料金を1円にしていたんですが、コーチ価格のダンピングになってしまうので800円にしました。登録者数については、コーチが218人、受講者が322人で(2018年8月9日現在)、チケットが売れているタイトルの比率で言えば『リーグ・オブ・レジェンド』(以下『LoL』)が圧倒的に多いです。

IPホルダーさんに「有償でのコーチングを許可していますか?」と問い合わせ、許諾いただいた、もしくは有償コーチングを制限していないタイトルを使用しています。

今後、扱えるタイトルであればいくらでも扱いたいと思ってますが、IPホルダーとの関係や、プレイヤー人口、コーチができる人の有無によって判断したいです。

――まったくの初心者という受講者の方もいるのでしょうか?

安部:サイトの設立理由でもありますが、行き詰まっている中級者のプレイヤーが上級者の方に指導を仰いでうまくなるという使われ方を想定しているので、初心者の方を対象とすることは想定していないですね。

初心者向けの攻略コンテンツはどのゲームも充実しているので、まずはそれを読んでいただくのが大事だと思います。とはいえ、攻略コンテンツって中級者以上向けとなると各個人に最適化されていないので、何が足りなくて上達できないのかがわからないという方のために、コーチングで個々に最適なソリューションを出し、お金を払って指導を仰ぐという形です。

――安部さんご自身の経験が基にあるというお話でしたが、コーチングを受けて上達した先に得たものや実感がありましたらお聞かせください。

安部:うまくなったことで、見える世界が変わりましたね。マクロ面で理解は高まったものの、エイムや瞬間的なスキルの判断に限界を感じ、これ以上の成長は見込めないなとも思いました。一定以上の上達については個人差があるので難しいと感じていますが、逆に言うと『オーバーウォッチ』はゲームの理解度が重要なので、コーチングの需要自体はあると思います。


コミュニティを代表するプレイヤーの宣伝力によるコーチの拡充


――コーチ陣についてお聞きしたいのですが、知り合いのプレイヤーさんに声をかけて募集されたのでしょうか?

安部:『LoL』や『シャドウバース』で有名なプレイヤーさんを対象に、TwitterのDMを200人近く送りました。登録いただいたコーチは割合でいうと3割ぐらいはDMで、残りはコーチがTwitterを通じてフォロワーやコミュニティに宣伝・普及していただいたんです。

じつは7月16日までの売上が一件しかなかったのですが、50人近くの『シャドウバース』プレイヤーさんにDMを送ったところ、世界王者の方が「GamerCoachを有名にしましょう」ってツイートしてくださったおかげで一気に人が増えました。人を集めるうえで、自分から積極的に営業をかけないといけないことを感じましたね。

――プレイヤー人口が少ないゲームについては、コミュニティリーダーの力が必要不可欠かと思います。

安部:『Dota 2』はコーチが3人しかおらず、どうすればいいかなと思っていたんですが、大きいコミュニティと有名な攻略サイトにリンクしていただき、元DeToNatorのbaseballdogsさんにコーチング配信をしてもらうことが決まりました。コミュニティに向けての知名度という意味では各タイトルごとにやっていかないといけないので、けっこう手間はかかりますね……。

――コーチとして応募する際の審査要項はあるのでしょうか?

安部:ありません。ただ、サイトの問題として、これまでコーチングをある程度行っている人に依頼が集中してしまっているんですよ。これだと新しいコーチの信頼がないままなので、実績を積み上げていけるシステムの開発を急いでます。

受講者の判断材料はコーチの値段とランクしか見えていないので、コーチングの内容でどれだけ上がったかという数値評価もサイトを通して上げていきたいですね。コーチの年齢はだいたい23~25歳が多く、これからの伸びを見てどういう人がコーチに適しているのかを判断している最中です。

一部のプレイヤーさんには「コーチングの宣伝配信」をお願いしているのですが、それを見て思うのは、やはり人当たりが良くてしっかりとしゃべれる人が求められていますね。

▲ALIENWARE ZONEにて、コラムを寄稿したdata氏も『LoL』のコーチとして登録されている。data氏はTwitchにて定期的にコーチングの模様を配信している。
コラム:「ゲームのプレイテクニックを教える「コーチ」という仕事」
Twitch:https://www.twitch.tv/data915

――コーチの登録やチケット価格は自由にできるとのことですが、中には冷やかしや誤用もいくつかあると思われます。

安部:『LoL』のコーチ登録でふざけた使い方をされてしまい、それがTwitterでバーッと拡散されてしまったときは胃が痛くなりましたね……。さすがにレアケースだと思いますが、それ以外にもふざけて登録する人もいっぱいいるんですよ。

たとえば、1時間あたりのコーチングチケットをべらぼうな金額にする人がいたり、誤った使われ方としては「アクションゲームのタイムアタックを教えます」っていう人もいましたね。今は手動でBANしていますが、「ゲームのコーチング」というものをこれからの活動ではっきりさせていきたいと思ってます。

真の狙いは「コーチングサービスの浸透」と「お金を回す仕組みづくり」


――V3 Esportsと提携されたとのことで、今後もこうした動きが活発になると良いですね。

安部:プロからのコーチングを受けられるというのはサイトとしてもアピールポイントになりますし、チャンスがあればやっていきたいと思ってます。

海外ではプロチームを辞めた選手が1時間あたり3000円という設定金額でコーチを担当しているケースもあり、レビュー数も60件近くあることから、かなりの注文を受けていることがわかりました。

うちのサイトの理想としては、選手やコーチのセカンドキャリアや副業として使っていただきたいですね。ユーザーからしても、やはり有名どころにお願いして安心感を得たいというのもありますし、ただ単に「お話ししてみたい」っていうファンの方もけっこういらっしゃるので、そういう使い方もあるんですよ。

――アメリカにはコーチングサービスが4つあるとお話にありましたが、これから日本でも増える可能性もありそうですよね。

安部:じつは日本でも他にサービスが存在したんですが、IPホルダーからの許諾問題や、担当者が海外の人だったこともあってか、リリースまでは至ってないんです。現時点でも我々しかいないので、正直に言うと増えてほしくないですね(笑)。大企業にやられたらうちは一瞬で負けてしまいます。ただ、うちにできることは早い段階にサービスを開始したという強みを生かして、より使いやすくサービスを改善しコミュニティに浸透させていくことだと思います。

――似たような事例として、eSports学科を設けている専門学校もいくつか増えていますね。

安部:授業の内容はしっかりしていますし、有名なプレイヤーをコーチに招いたり、環境的には整っていると思いますね。ただ、専門学校ということでお金がかかって敷居が高いという問題に対し、うちの場合はまず金額的に安いですし、好きなコーチに頼めるという手軽さが大きなメリットだと思います。

――最後になりますが、アピールポイントや今後の運用目標をお聞かせください。

安部:自分の目的は日本にゲームのコーチングサービスを浸透させることであって、サイトの運営はそれを達成するための手段の一つでしかありません。オンラインでのサービスに限らず、オフラインやコーチングの仕事を作っていきながら、講師としてトッププレイヤーの方がお金を儲けられるようになることが大事だと思っていますし、伸び悩んでいる人に適切なサービスを提供できることが最大の目標です。

* * * * *

受講者とコーチをマッチングさせるという取り組みから、コーチングサービスの浸透と認知を広め、将来的にはオンライン・オフライン問わずコーチが活躍できる場を提供したいと話した安部氏。「GamerCoach」のサービス開始から1カ月半が経過した現在でも、Twitterなどに挙がっている意見に目を通しながら、システムの改善に着手しているという。ランクの行き詰まりや勝率の低下など、伸び悩みを感じている場合は、一度コーチの手ほどきを受けてみてはいかがだろうか。



■関連リンク
GamerCoach
https://gamercoach.jp/