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『DYO』に見るプレイヤー中心ゲームデザイン【インディーゲームレビュー 第36回】

ゲームデザインの基本は「どのようなペルソナに、ゲームプレイを通して、どのような感情を想起させるか」を考えることにある。学生作品がベースで、協力プレイが楽しい『DYO』も、この基本に忠実なアクションパズルだった。


学生作品がベースのアクションパズル

ゲーム開発者はしばしば「自分が楽しいゲーム」を作りたがる。ゲーム開発を学ぶ学生は特にそうだ。しかし、商業ゲームを作るためには「他人を喜ばせる」ためのゲーム開発が求められる。具体的には「どのような想定ユーザー(=ペルソナ)に対して、どのような感情を想起させるか」を最初に設定し、それに即したゲームデザインを行う必要があるのだ。これはインディーゲームにおいても同様である。

2体のミノタウロスを操作して迷宮から脱出するアクションパズル『DYO』もまた、この基本に忠実なゲームだ。本作はドイツ・ベルリン技術経済大学でゲームデザインを学ぶ学生4人によって、授業で作られたゲームがベースになっている。卒業後も本業の合間をぬって開発が続けられ、約4年後に正式リリースをはたした。ゲームデザインを学ぶ学生にとって、まさに教科書的なタイトルだといえるだろう。

公式トレーラー


分割画面を操作して道を切り開く

本作のゲームプレイは独特で、「ありそうでなかった」という形容詞がピッタリくる内容だ。ゲームの目的は2体のミノタウロスを別々に操作し、それぞれ決まったゴールへ導くというもの。画面は左右に2分割されており、ミノタウロスの操作によって、それぞれ個別にスクロールする。画面はそれぞれ、見たままの状態で連結させられ、左右のミノタウロスを行き来させられる。

この時、スクロールで見た目の変わった地形を、そのまま足場として活用できる点がミソだ。そのため分割状態では先に進めない状況でも、画面連結によって新たなルートを見つけられる。このように2体のミノタウロスを個別に動かしながら、画面の連結と分割を繰り返していくことが、本作の主要なゲームプレイであり、唯一無二のパズル体験につながっているのだ。


協力プレイに合わせた操作デザイン

このように本作は1人でもプレイ可能だが、2人で遊ぶとより盛り上がるゲームになっている。それを象徴するのが操作デザインで、1台のキーボードやコントローラーを2人で共有してプレイできる。2台のコントローラーでプレイする方が快適だが、こちらの方がよりプレイヤー同士の会話が増すのは明らかだろう。パズルの難易度も低めで、1プレイが十数分で終わるため、カップルや親子でのプレイに最適だ。

実際に本作でゲームデザイナーをつとめたJosia Roncancio氏の寄稿記事「How to make your game more CO-OP」では、「共有コントローラー制御方式」の実装で協力プレイが盛り上がったと記されている(本記事では他に、「プレイヤーにすべての情報を開示しない」「不便さを強いる」という、協力プレイを盛り上げるためのノウハウが記されており、一読をお勧めしたい)。

画面分割も、2体のキャラクターを個別に操作するメカニクスも、コントローラー共有制御も、すべて協力プレイを盛り上げるための手段だ。つまり本作は「2人のプレイヤーに対して、協力プレイを通して達成感を提示し、親密度を向上させる」ことを目的にデザインされている。

余談ながら、本作はテキストが一切表示されない点でも秀逸だ。多言語・多文化市場であるヨーロッパならではのゲームだといえるだろう。

■関連サイト
Steam『DYO』販売ページ
https://store.steampowered.com/app/791470/DYO/
Team DYO公式サイト
http://teamdyo.com
Josia Roncancio氏の寄稿記事「How to make your game more CO-OP」
https://www.yoyogames.com/blog/465/team-dyo-how-to-make-your-game-more-co-op
【コラム】小野憲史のインディーゲームレビュー